暴風雪から一粒種守った父あっぱれ!ジャンパー脱いで暖め続け凍死
3月3日(2013年)の早朝、前日から続いた猛吹雪のせいで、北海道紋別郡湧別町の牧場用倉庫の前で父親が9歳の娘を抱きしめるように覆い被さり凍死したが、その代わりに娘の命を助けたという報道は大きな感動を呼んだ。『週刊文春』がこう伝えている。
「3月2日に記録的な暴風雪が発生した。当日の猛吹雪の様子について地元住民がこう証言する。
『オホーツク沿岸に引っ越して三十年以上になりますが、過去にない、想像を絶する吹雪でした.目の前がまったく見えないんです。昔のテレビは放送が終わると画面がザーッと砂嵐のようになったでしょう。あんな状態です。強風と吹雪が顔に当たって痛い。まともに眼も開けられませんよ』
今回多数の死者が出た要因の一つに急激な天候の変化がある。
『午前中は快晴だったんです。それが一時間もしないうちに急変して吹雪となり、五分か十分で雪が一メートル、二メートルとみるみる積もっていく。そんなのはこれまで考えられなかったです』」(同前)
2日土曜日の午後、岡田幹男さん(53)は漁業の仕事が終わると軽トラックで地元の「児童センター」に寄り、娘を連れて数センチ先が見えない道を車で走り始めた。父親から「車が雪にはまって出られない」という電話が親族にあったのが午後4時頃。30分後にも電話があったが、それが最後になった。
父親は4年前に妻を亡くし、娘と2人暮らしだったが、とても仲が良かったという。二人が倒れていた地点からわずか50メートル先に民家があったのだが、1メートル先も見えない猛吹雪のため、父親は自分のジャンパーを脱いで娘を覆い、自分の体温で娘を温め続けたのだ。娘は父親の死を知らされても気丈にふるまっているという。彼女は父親の愛情を一生忘れないだろう。