2020年の五輪開催を目指す東京で、IOC評価委員による調査が7日(2013年3月)に終了した。関係者は高い評価を得たと自画自賛しているようだが、前回のような捕らぬタヌキの皮算用ということにならないか。「とくダネ!」は評価委員の調査に合せて来日した9人の記者に独自の採点を依頼した。平均点74点とまあまあの得点だった。
イスタンブール、マドリードは明快
採点を依頼したアメリカ人記者は厳しく見ていた。「記者会見の中で、『なぜ東京で五輪を開催したいのか』と聞かれても、竹田(恒和JOC会長)さんは『われわれは素晴らしい五輪を開催できる』としか答えられなかった。説得力に欠けると思う」
トルコ・イスタンブールは「経済と文化でヨーロッパ大陸とアジア大陸の架け橋になっている。今度はスポーツで架け橋になる。イスラム圏初の五輪招致を目指す」とはっきりしているし、スペイン・マドリードも「経済的に恵まれていない時期だからこそ五輪開催の意義がある」と明快だ。
もともと日本は、4年前に福岡が手を挙げようとしたのを『暴走老人』がパフォーマンスで横取りして失敗した。その後、東日本大震災、福島原発事故と未曾有の国難にみまわれ、五輪招致どころではないという声も強かったが、石原前都知事も猪瀬知事も継続を決めた。
アピールすべきだった「東日本大震災・福島原発事故からの復活」
原発事故の取材で福島にいるキャスターの小倉智昭は「招致のプレゼンテーションに不満があります」と前置きして、次のように話し出した。「今回、震災のこととか原発からの復興をあえて避けた。それを言うと突っ込まれるから怖くて避けたのだろうと思いますが、僕はそこを逆手に取るべきだったと思いますよ。バブル崩壊からリーマンショックを経験し、加えて大震災と原発事故。そこからいかに立ち直っていくか。五輪を開催することによって国際的に勇気を与えられるんだということを全面的に出すべきだった」
ただ、福島原発事故の安全・安心がいつ確保できるのかいまだにメドはつかないし、大震災の被災地の復興は遅々として進まない。マイナスイメージとなる可能性はたしかにある。五輪招致運動を見ていると、政府も経済界も無理やり猪瀬にスクラムを組まされているような印象がぬぐえない。やはり7年後の五輪招致は早すぎたのではないか…。