去年12月(2012年)の衆院選をめぐる「1票の格差」訴訟で、東京高裁はきのう6日(2013年3月)、予想通りの違憲とする判断を下した。前回衆院選(2009年)で最高裁の「違憲状態」判決がありながら、同じ区割りで(格差のまま)選挙が行われたことは怠慢すぎるというわけで、最高裁判決から1年9か月という期間は「是正する合理的な期間を過ぎた」という。ただ、選挙無効の請求は、混乱を招くなど「事情判決」の考え方から認めなかった。
自民も民主もどこか他人事
1票の格差訴訟は選挙区ごとに行われる。きのうの違憲判決は東京1区だが、全国で16の判決が3月内に出る。同様の違憲判決が続くと見られ、選挙を無効とする判断も出るかもしれない。きょうは北海道3区について札幌高裁の判決が出る。
原告の訴えの根拠は、12月の衆院選の議員1人当たりの有権者数。最も少ない高知3区では20万4930人なのに対し、最も多い千葉 4区では49万7601人と、格差は2.43倍だった。09年の2.3倍よりさらに差が開いていた。判決も「格差は2009年より拡大している」「最高裁判決で違憲状態が明確に示され、立法措置を講じる必要があると強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正されないまま選挙が行われたのは看過できない」とした。
原告は「違法の選挙で選ばれたあなたたち(衆院議員)は、法に基づく正当性のない人ですといったことになる」と言うが、自民党の細田博之幹事長代行は「区割りの変更もできずに今日に至ったことは、きわめて恥ずかしい事態だ」、民主党の細野豪志幹事長も「立法分不作為として指摘は受け止めないといけない」と、どこか他人事だ。
なぜ選挙無効にしないのか?サッカーのファウルと同じ
司会のみのもんた「違憲なのに選挙は無効じゃないのですか」
中央大法科大学院・野村修也教授は「サッカーでは、ファウルのときに試合を止めますが、続けた方がいいという判断もあって、あれと同じです。無効にしていままた選挙しても区割りは同じでしょうから、それより区割りを実施しろということです。事情判決といいます」
みの「なるほど、自浄ですか?」
野村「前回の判決の『違憲状態』というのは、できるだけ1対1に近づけよ、1人別枠制度をやめよという意味がありました。今回はっきりと『違憲』と言いきっているということは、ただちにそれらをやれという意味です。ただ、法律家の感覚でいうと、裁判所は無効という判決は出し難い」
金井辰樹(東京新聞政治部記者)「違憲状態で選ばれた議員が続くというのは釈然としないですよね」
北川正恭(早大大学院教授)「消費税をお願い、TPPをお願いとなって、国会議員がそれだと説得力がない」
野村「この改革は、国会議員が出ない地域ができるかもしれないということを考えて議論しないといけないでしょうね」
ポイントはそこだ。完全な人口比がいいのかどうか。これがなかなか理解されていないように見える。