「これほど受け入れを断られるのは、きわめて異例のことです」と緊急搬送を担当した救急隊員は複雑な表情を見せた。今年1月(2013年)、埼玉県久喜市に住む75歳の男性が体調不良を訴えて119番通報をしたが、県内外の25の病院から計36回も受け入れを断られ、死亡していたことが明らかになった。
埼玉県ワースト「病院到着まで30分以上」が16%
小松靖アナウンサーは「受け入れを断った病院の中には、男性がそれまで通院していた病院も含まれていました」と報告した。その病院は「受け入れ要請の連絡が来る直前、他の救急車を受け入れていたので受け入れ態勢が整わなかった」と説明する。
小松「最終的には男性の自宅から10数キロ離れた茨城の病院が受け入れてくれました。しかし、搬送途中で男性の容体が急変し、病院到着後に死亡が確認されました」
埼玉県は救急車が到着してから病院に運びこむまでに、30分以上かかる割合が15.9%と全国でももっとも高い。久喜市議会の井上忠昭議員は「医師不足やベッド不足の問題もあるが、埼玉県では病院の所在地にバラツキがあります。東京寄りに病院が多く、茨城県側には少ない」と話す。
病院の所在地にバラツキ「東京よりに集中」
コメンテーターの立花胡桃(作家)「私の実家も埼玉で、市によって病院がある場所にバラツキがあるというのを時々感じます。その解消策として、ドクターヘリのように救急車に医師が同乗して車内で救急処置をするということができないものでしょうか」
松木安太郎(サッカー解説者)「ベッドが満杯だとか、受け入れ態勢が取れないという問題ではないでしょう。プライオリティーの問題。何を優先すべきか、医師ならわかるはず」
救急隊員は受け入れ可能病院を探すのに、1件1件連絡するのだろうか。その瞬間にどこの病院が受け入れ可能かを一覧で表示するシステムを作ることなど、いまどき簡単だと思えるが…。