通信の秘密、プラバシーや人権侵害どう避けるか
ここで、国谷は現在検討されている新たな捜査手法を紹介した。「これまで日本でタブーとされてきましたが、アメリカなどで広く行われている通信傍受です。いわゆる盗聴の導入が検討されています。日本では通信の秘密が憲法で保証されているため、これまで通信傍受は極めて限定的にしか行われてきませんでした」
清水「日本では通信傍受のためには裁判所の許可を取り、電話局でその通信会社担当者の立ち会いの下に行わなければならないという制限が課せられています」
桐蔭横浜大学・河合幹雄教授は「警察の対応が遅れているというより、日本の社会構造が刻々と変化し、これまでの聞き込み捜査が通用しない時代となっています。人目のないところで犯行に及べば大丈夫だろうと考え、逮捕されても否認する例が増えています」と解説する。
国谷「国の審議会で通信傍受についての議論がほぼまとまり、タブーとされてきた手法が数年以内に国内でも広く導入される可能性が出てきましたが…」
河合教授「防犯カメラの時は、その地域の人たちが集まりカメラを設置すべきかどうかの議論があり、地域のコミュニケーションも図られました。しかし、通信傍受は住民への相談なしに行われます。プラバシーや人権侵害をどう避けるか。大きな課題となります」
携帯電話やパソコンのなにげない会話やメールを警察が聞いているなんて時代になるのか。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2013年3月4日放送「転機の警察捜査」)