東日本大震災から来週11日(2013年3月)で2年になる。進まない復興事業のなかで被災者はどのような悩みを抱え暮らしているのか「真相チェイス!直撃御免」コーナーのカメラが捉えた現状をきょう4日から5日間にわたり伝えるという。
50代男が「実家に火つけてやる」罹災証明書めぐる親子争い
岩手県釜石署の大槌交番に1週間張り付いた。プレハブ交番には26人の警察官が常時勤務しているが、17人は県外から応援だという。夜7時半過ぎ、女性が交番に駆け込んできた。「別居している50代の息子が、母親の住む実家に火をつけると脅している」という。交番に息子を任意同行し事情を聴取したところ、こんな話だった。
1日目―。母親の住む実家は高台にあって津波の被害を免れ無事だったが、海沿いの息子の家は被害にあった。しかし、住民登録が実家になっていたため、行政支援を受けるのに必要な罹災証明書がもらえない。実家の親族とは絶縁状態にあり、息子は口論となって不満をぶつけてしまったらしい。
翌日―。東京の警視庁勤務だったが、実家が岩手県ということで志願しプレハブ交番に勤務している巡査部長は、仮設住宅に住む被災者の巡回に出た。周囲の住民になじめないという50代の女性の悩みを1時間半ほど聞いてあげる。
夜はとくに力を入れるという津波被害がひどかった海岸沿いをパトカーで回った。最近、漁具の盗難が頻発し、復興に水を指すような情けない事件が続いているからだ。
110番通報「夫がトイレで倒れている!」心身疲れきる仮設住宅暮らし
4、5日目は平穏な日々が続いたが、6日目の未明に110番通報があった。トイレで倒れている夫を発見したが、動かないという妻からの通報だった。長野から応援に来ている巡査部長が駆けつけたとき、67歳の夫はすでに心肺停止の状態だった。仮設住宅での暮らしの影響が2年目に出てきたのか…。帰り道、巡査部長はこう呟いた。「自分も親との別れがいつ来るかと考えると、遠くに来ているより、近くにいてあげるのが良いかなと思うときもあります」
7日目の朝、交番に1本の電話が入った。瓦礫の仮置場で18センチほどの太い骨が見つかったという。これまでも6本の骨が見つかり身元が確認されたケースもあった。
キャスターの小倉智昭「他県から来て岩手のことが分かるのかといわれたと思うんですが、取材したスタッフによると、被災者の人たちは警察官の姿を見るとホッとし、安心すると言っているそうです」
阪神淡路大震災のときの経験では、2年目からが自殺者を含めいろんな問題が噴出し大変だという。我慢の限界が来るのが2年目ということかもしれない。