「通常の4倍の高濃度・高品質」に専門家もビックリ
南鳥島の沖合にはどのくらい埋蔵されているのか。それを探るために海洋研究開発機構の海洋資源調査船「かいれい」が1月下旬(2013年)から2月初めにかけて詳しく調査した。水深5000メートルの海底にパイプを下ろして泥を採取する作業で、調査スタッフが注目したのは泥の色だった。黒いほどレアアースが多く含まれているのだが、期待とは異なり茶色だった。これにはちょっとがっかりだったが、調査終盤になって真っ黒な泥の採取に成功した。
持ち帰った泥を詳しく分析したところ、レアアースの濃度は予想をはるかに超えて6000ppmに達していた。分析を担当した東大大学院工学系研究科の加藤泰治教授は、「私たちの経験ではレアアースの濃度は高くても1500ppmぐらいだったのですが、今回の6000ppmはその4倍ぐらい」と驚く。ジスプロシウムは中国のレアアース鉱石に含まれる濃度の20倍、IT機器に必要なテルビウムは16倍、LED照明器具に必要なユウロピウムは35倍と、日本のハイテク産業がとくに必要とするレアアースが大量に存在することが確認された。
南鳥島沖合周辺にはこれがどのくらい眠っているのか。先に国内消費量の230年分と見積もったのは南鳥島沖のごく一部で、加藤教授は「排他的経済水域全体では無尽蔵といっていいくらいあります」と太鼓判を押す。