中国からの飛来が続く微小粒子状物質PM2.5について、環境省はきのう27日(2013年2月)に暫定的な行動指針を決めた。「1日平均で1立方メートルあたり70マイクログラム」を超えた場合は、外出を控える、運動をしないなどを勧めるという。
行動基準は専門家会議が出した。数値は環境基準「35マイクログラム/立方メートル」の2倍である。なぜ2倍なのか。例によって「ただちに健康被害があるわけではない」というやつだ。いまひとつわけがわからない。
1台300~500万円
すでに影響が及んでいるといわれる福岡市では、35マイクログラムで「外遊びをやめ」としている幼稚園があった。この幼稚園は「70で本当に大丈夫か」という。福岡で70を超えたことはないが、35は何度も超えている。
これまでも、呼吸器系に疾患のある人たちは黄砂と花粉で苦しんできた。今年はこれにPM2.5が加わった。黄砂と複合した「悪さ」を懸念する声もある。何年も治まっていたゼンソクの症状が出たという例もあった。
こうした数字に対応するためには正しい観測データがいる。山形県にある測定機器メーカーでは機器の性能確認作業に追われていた。納入先のほとんどは地方自治体だ。価格は入札で300万円から500万円。月産は40台で、東京の工場などと合わせても80台が限度だという。
自治体の入札に参加できるのは、環境省のテストに合格したメーカーだけで、いまのところ国内3社、海外2社しかない。環境省は2010年度から3年間をめどに全国に1292台の設置を計画していたが、この3月末(2013年)で556台と目標の半分に満たない。
きのうの北京市内では、午前9時に330マイクログラム/立方メートルで、日本の環境基準の10倍(暫定指針の5倍)だった。これがどのような形で日本に押し 寄せてくるのか、測定機器がなければわからない。
「外出を控える」「換気は最小限」「屋外での激しい運動NG」
専門家会合のメンバーの島正之・兵庫医科大教授に、環境基準「35」と暫定指針「70」の違いを聞いた。教授は「35を超えたら健康に影響するというわけではありません。健康な人ならもっと高くても大丈夫。ただ、これまで環境基準(35)しかなかったので、これを超えたときに過剰に反応する人もあるので、注意していただくのは70くらいからですよという意味です」という。具体的には、「外出を控える」「換気は最小限に」「屋外での激しい運動はNG」だ。「呼吸器系疾患、循環器系疾患のある人」「高齢者・子ども」はさらに注意をという。ただ、70という数字は「健康な人なら問題ないだろう」というだけで、「あくまで暫定です」と話す。
司会のみのもんた「少し甘くしたのかなと思ってしまう」
島教授「そういうことではありません。病気がある人は70以下でも注意が必要です」
みの「測定機器が足らないというのなら、主要な所の数値をラジオ、テレビで放送したらいい」
金井辰樹(東京新聞政治部記者)「マスコミも全面的に参加した方がいいですよね。花粉情報と同じよう」
みの「そうそう」
子どものゼンソクだと35より低くても影響があるというからやっかいだ。この面では、日本の技術を中国にどんどん伝えることが自衛になる。