パソコンを遠隔操作してネット上の掲示板に大量殺人予告を書き込んだ事件の容疑者・片山祐輔(30)が威力業務妨害の疑いで逮捕されて17日が過ぎ、勾留理由開示の法廷が26日(2013年2月27日)に東京地裁であった。
釈放を求める片山に裁判官は「罪を犯したことを疑う理由があり、釈放したら証拠を隠したり逃亡すると疑われる理由がある」と突っぱねた。
「江ノ島行ったが猫にデータ首輪付けてない」
法廷を傍聴した田中大貴アナによると、弁護士を含め細かなPC専門用語の間違いがかなりあったらしい。「そのたびに片山は笑みを浮かべながら訂正する余裕すらあった」という。
検察側はこれまでに判明した事実として、事件で使われた遠隔操作ウイルスがアメリカのサーバーに残っていて、そのなかに片山の勤務先を示す情報が発見されたという米FBIの報告をあげた。これに対し、弁護側はプログラミング言語「C#」を使った遠隔操作ウイルスを片山は作る能力を持っていないと主張している。
また、犯人が江ノ島で事件に関するデータを猫の首輪につけたというメールについて、捜査当局は片山が使用していたスマートフォンをデータ処理で復元し、メール画像と同じ猫の写真を見つたとしている。これについても弁護側は、片山は江ノ島に行き猫の写真を撮った事実はあるが、首輪はないし首輪をつける様子は防犯カメラに映っていないと主張している。
犯行声明送りつけられた弁護士「有罪にできるか難しい」
犯行声明のメールが送られてきた元東京地検検事の落合洋司弁護士は、「いま紹介されたように、偶然といわれてしまえば確かに状況証拠だけ。有罪にできるかどうか相当難しい。後は被疑者に直接結びつく証拠がどこまで出て起訴することができるかどうかですね」という。直接証拠は少ないが、蓋然性で「片山しかいない」という判断はあり得るだろう。