エジプト南部の観光地ルクソールできのう26日早朝(2013年2月)、呼びものの熱気球が爆発し、日本人4人を含む19人が死亡した。着陸寸前に燃料のプロパンガスのパイプが破損して引火したらしい。気球のパイロットは飛び降りてしまい、乗客はなすすべがなかったという。
乗っていた日本人はいずれも東京都内に住む60代の夫婦2組の4人で、死亡が確認され遺体はカイロへ運ばれた。4人はJTBの系列会社が企画した10日間のツアーに参加していた。
運行会社は過去3回事故。ナイル川の船にも衝突
熱気球観光は日の出前から上空に上がり、遺跡に朝日が射す壮大な眺めを楽しむのが売りで、30年くらい前から盛んになった。ここで発掘調査をしている早稲田大の吉村作治名誉教授は「その日の風まかせで北へいったり南へ行ったり運まかせ」という。人気は高く、この日も多数の気球が上がっていた。
この気球を運航している会社は過去に3回事故を起こしており、2011年にはナイル川で船に衝突している。この会社以外にも事故は多く、風が強いと着陸のときに横倒しになったりもしたという。ツアー会社によると、熱気球の搭乗はオプショナルツアーで、「打ち身、骨折の恐れがあり…、防ぎようのないケースもある」と説明し、「自己責任での参加である」との同意書に署名している。気球はいわば乗り合いで、この事故の死者の国籍も中国、フランス、ハンガリー、イギリスなどさまざまだった。
専門家「燃料パイプ破損しても元栓閉じれば防げた事故」
目撃者によると、事故が起こったのは午前7時15分。気球が着陸しようと係留用のロープを下ろし、地上にいた作業員がこれを引いたところ燃料用のパイプに引っかかって破損し、吹き出したガスに引火して気球は急上昇、地上100メートルくらいで燃え尽きて落下した。途中で何人かが飛び降りたという。最初に引火したとき乗客1人が飛び降り、ついでパイロットが飛び降りたため、軽くなった気球は急速に上昇した。
事故について専門家は、パイプはかなり頑丈で容易に破損はしないし、切れてもバルブを閉めればと止まったはずと首を傾げる。しかし、パイロットが飛び降りてしまってはどうにもならない。
現地の特派員によると、エジプトでは昨年来の政変で観光客が激減し、それがようやく戻りかけたときだけに、現地ではかなりの衝撃だという。
司会のみのもんた「気球観光は今後も続けられるんでしょうか」
TBS特派員「何らかの安全確保策が出るまでは飛ぶことはないでしょう」