イタリアにとってベルルスコーニという政治家はどんな存在なのか。ヨーロッパの債務危機に大きく影響するイタリアの総選挙の開票が始まったが、大混戦になっている模様だ。得票予想によれば、緊縮路線反対を掲げて返り咲きを狙ったべルルスコーニー前首相(76)率いる中道右派連合が追い上げを見せ、上院では善戦したようだ。「ニュースアップ!」コーナーで取り上げた。
ウクライナの女性の権利擁護団体
ベルルスコーニーはどこまでも人騒がせである。選挙で投票所に姿を現すと、突然3人の女性が「ベルルスコーニーはいらない」「もうたくさん」などと叫びながら乱入した。衣服を脱ぎ上半身裸である。女性の権利を擁護するウクライナの団体に属する女性たちとみられ、少女買春疑惑で公判中の前首相に抗議したものだ。
選挙の争点はもちろんこの買春問題ではない。イタリアの財政再建のためにモンティ首相が進める財政緊縮路線を、継続するかどうかが争点だ。ベルルスコーニは「持ち家に課された重税を補填するために、みなさんが払った税金を還付することを決定します」などと緊縮反対と減税を訴え支持を広げた。
反緊縮を掲げたもうひとつの政党も注目された。元コメディアンが率いる「五つ星運動」。過激な発言で既存政党を痛烈に批判し、ユーロ圏離脱、反緊縮を訴えた。
ベルルスコーニの反緊縮路線善戦で円高
司会の羽鳥慎一が「実はこれ、遠い国の選挙ではなくて、日本にも非常に関係ある選挙なんです」という。アナウンサーの小松靖が「その通りで、反緊縮派が善戦しているということで、(ユーロへの不安から)円高が進んでいます」と伝え、イタリアの政治について復習する。
「ベルルスコーニ前首相は在任中に借金が膨らみ、債務危機への対応が遅れたこともあって退任に追い込まれました。2011年にその後を継いだ経済通のモンティ首相が緊縮路線をとりましたが、今度は国民にいや気が出てきて、解散せざるを得ない状況になり今回の総選挙となりました」(小松靖)
羽鳥「イタリアも大変そうですね」
コメンテーターの宮田佳代子(城西国際大学非常勤講師)「イタリア国民がどういう気持ちでこの選挙を見守っているのかな、と思いますね」
羽鳥「緊縮は国民はいやでしょうが、長期的にはどうですかね」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)は「増税は大変と思いますが、ゆるゆるにして楽にしてしまったら、世界中がどうなるか。自分たちの国でちゃんとしてよ、と正直言いたくなりますよね。ベルルスコーニさんは裸の抗議を受けて、『なかには理性のない人もいる』とおっしゃっていたようですが、自分がスキャンダルまみれなのに、よくそういうことが言えるなっていうのが、イタリアっぽい」と感想を述べていたが、その前首相に支持が集まるというところがもっとイタリアっぽい、ということか。