韓国の朴槿惠(パク・クネ)氏(61)がきのう25日(2013年2月)、第18代の大統領に就任した。初の女性大統領の誕生だ。就任式で朴は「国民が望む第2の漢江(ハンガン)の奇跡を成し遂げます」と宣言した。草稿など一切なし。そうだ、こういうときに紙なんか読んじゃいけない。
国会前広場で行われた就任式には7万人が招待されたが、日本からは森喜朗、福田康夫、麻生太郎と3人の元首相が並んだ。人気歌手PSYらのアトラクションがあったりして一風変わった雰囲気だったが、登場した朴は堂々たるものだった。
麻生副総理との会談では「歴史認識」で牽制
朴大統領が「経済復興と国民幸福、文化隆盛を成し遂げる」としてあげた「漢江の奇跡」とは、父の朴正煕元大統領が率いた1960年代から70年代の高度経済成長のことだ。朝鮮戦争の痛手から短期間で成し遂げた復興を奇跡と呼んだ。その父への思いがこもる。
北朝鮮にも言及した。「北朝鮮の核実験は国民の生存と未来に対する挑戦であり、その最大の被害者は北朝鮮。互いに約束を守るとき信頼を積み重ねることができる」と核の放棄と信頼の構築を呼びかけた。
各国との関係では、「アジアでの緊張と葛藤を緩和させ、平和と協力がいっそう広がるよう、アメリカ、中国、日本、ロシアなどとより一層厚い信頼を積むでしょう」と述べた。
午後にソウル市内をパレードしたあと、33年ぶりとなる大統領府「青瓦台」へ入った。父の時代の74年に母が撃たれ、その後は母に代わりファーストレディーの役を務めたが、79年にはその父が暗殺された。その後、長い時を経て政界入りしたが、06年には本人が暴漢に襲われ危うく命拾いしている。
青瓦台でさっそく麻生副総理・財務相との会談に望んだ。会談後、麻生は「未来志向で緊密な協力をしていこうということで一致した」と話したが、朴は「友好のためには歴史を直視し、被害者の苦痛への理解が必要」と「歴史認識」でけん制した。