スポーツ振興くじ(toto)という名の公営サッカー賭博は、現在Jリーグのみを賭けの対象としている。ところが、「スッキリ!!」が伝えるところでは、近々、海外サッカーも賭けの対象に加えるかもしれないという。また、最高当せん金を現在の6億円から7億5000万円に引き上げ、集めたカネで国立競技場の建て替え費用などを捻出することも検討されているらしい。「俺はイイと思うけど、7億5000万円」と司会の加藤浩次は言う。
スポーツ振興というのが「目的」のはず
日本のスポーツ振興くじの対象が、なぜ「なでしこ」でも、野球その他の国内スポーツでもなく、「海外サッカー」に拡大するのか。これは少々疑問が生じるところかもしれない。スポーツ振興くじの目的は、集めたカネでスポーツを振興することだというのだが、あるスポーツにカネを賭けさせることで、そのスポーツへの興味、関心を直接「振興」する効果もバカにならないだろう。
たとえば、馬の駆け比べにカネが賭けられなくなったら、競馬場に足を運ぶ人は激減し、騎手の結婚がワイドショーで伝えられることもなくなるかもしれない。Jリーグにカネを賭けられることで、より多くの試合を見たり、情報を集めたりする人が増えることは考えられる。その点、海外サッカーはくじの売り上げを増やすかもしれないが、「国内」スポーツの直接的な振興効果は期待できない。
ことに、守るべきは日本、勝つべきは日本、諸外国がアベノミクスになに言っても気にするな―的な時代には、サッカーくじの「開国」はそぐわないようには見える。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト