年とると怖いもの増えるの?旅に出てもドキドキ・好奇心よりまずは安心と安全

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   嫌いというよりも怖いからダメなものがある。怖いのは食べたことのない屋台の料理、調理器具、食器、公衆トイレ、プール、虫、突如現れるヤモリや見たこともない大きなクモ。こんなのちっとも昔は怖くなかったのに。

   ある編集者と旅行の話をしていた時、そんな怖いものあるある話で盛り上がった。彼女は取材とプライベートを兼ねてリゾートに出掛け、けれどビーチで泳ぐこともなく、大自然の中を探索して満喫するわけでもなく、ただぼ~っとホテルでくつろいでいたんだそうだ。せっかく時間とお金をかけて海外リゾートに行っているのだから、なぜもっとアクティブに動かないのかと、同席していた20代スタッフはすぐさま口を挟んた。でもね、お若いの。そうじゃないんだよ。怖いからダメなんだよ。編集者と私はニヤリ。確かに昔は好奇心が勝ってなんでもかんでも挑戦したんだよ。でも、今はそれができなくなっちゃんたんだよね。これが大人の旅の楽しみ方っていうのかな~。

危険で不衛生なところに出掛けるよりも快適ホテルライフ

   彼女も私も大の旅行好き。お互い学生時代からバックパック1つで海外を周遊していた。今でもふとした瞬間に当時のことがフラッシュバックしてくる。むせかえるような熱風や埃っぽい空気、アジアの国々で嗅いだ生臭い匂い、欧米国で漂う過剰なまでの柔軟剤や芳香剤の香り。ときたまそんなものが五感を襲ってくる。それはどこかからやった「そろそろ旅に出よ」という合図なのだ。あぁ、また旅に出なくちゃと旅行病が出てきた。なんとか休みをとらなくちゃ、それにどこへ行く?と一人でソワソワ。そんなタイプだったのに、旅のスタイルがここのところ変わってしまった。1人でガツガツ、今から思えば危険を顧みずになんでも体験したいと気負っていたくせに、今は旅先でホテルライフを満喫するようになっている。

   いつ頃からだろう、こんなものが怖くて好奇心が負けて手を出せなくなったのは。編集者は30代になってからだと言う。ある程度お金ができると、宿泊場所のグレードを上げる。するとそれが心地よくなってきて、もう格下げはできない体になってしまう。当然グレードの高いホテルは衛生的。次第に不衛生に見えるものから身を遠ざけるようになり、今までは大好きだった銭湯や温泉旅館の大浴場もNGの潔癖症になってしまったそうだ。ちょっと悲しいけれど、旅は自分の気分を優先したいと彼女は言う。

中華料理を体が受け付けなくなってから冒険しなくなった

   私の場合は20代後半にそれまで大好きだった中華料理を突如体が受け付なくなってから。料理を口に入れてからきっかり1時間後に胸やけと腹痛が始まり、戻してしまう。他の国の料理は問題ないが、症状が出るかもしれないと恐怖が先に来て偏食気味に。海外では尚更で、衛生状況が大丈夫そうなレストランでないと食事をしたくなくなった。値段は張るけど、言葉の通じない国で七転八倒するよりはマシだもの。その頃から、私は国内でも駅のトイレには行けなくなり、好奇心やドキドキよりも安心感を求めるようなってしまった。

   旅はいろいろなことを教えてくれる。世界の広さ、価値観の違い、そして自分自身について。もうすぐ卒業シーズン。学生はすでに旅行シーズンに突入しているところもあるだろうか。「かわいい子には旅をさせよ」と古くから言われるが、あれって実は「かわいい時期こそ旅に出よ」という自戒を込めての意味なのかもしれない。自分がかわいかった時期、イコール若い時期と強引に解釈できるような年齢になってくると、そんな風に思えてくる。

モジョっこ

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