2020年のオリンピック競技から除外候補に挙げられたレスリングについて、司会の菊川怜が「除外された背景が見えてきました」と裏の事情を取り上げた。改めて認識させられたのは、日本のレスリング界が井の中の蛙で、大海を知らな過ぎということだった。
「もっと悪い種目ある」との噂聞いて何もしなかった日レス協会
除外候補に挙がった波紋が国内で広がっている。五輪3大会連続金メダルの吉田沙保里選手は「2020年に東京招致が決まれば私も出たいと思っていたので、今は信じられない状況です。自分はまだ現役で何をしたらいいか分からない」と戸惑っている様子だ。
日本レスリング協会の福田富昭会長は「残った25の競技団体の中にはレスリングより全然悪いところがあるんです。テコンドーと近代五種が噂では危ないんじゃないかと言われていた」と弁明する。
まるで寝耳に水といった感じだが、はたして降って湧いたような話なのか。IOCは大会翌年に中核競技から除外するかどうかを決める精査をおこなう。世界75か国で競技が実施されているかなど60項目にわたりチェックされ、今回はレスリング、近代五種、ホッケー、テコンドー、カヌーの5種目が除外種目として絞り込まれた。この5種目からどれを選ぶか。ロゲ会長を除く14人のIOC理事による4度の投票が行われ、1回目の投票から除外票が最多だったのがレスリングだった。福田会長が「危ないという噂」といっていたテコンドーやカヌーを除外候補に挙げたのはわずか1票で、途中で除外から外れている。この差はどこから来ているのだろうか。
ゲスト出演した400メートルハードルで3大会出場の為末大元選手がこんな話をした。「アテネ五輪の時のことをよく覚えているんですが、韓国のテコンドー選手が大会の始まりから終わりまで選手村の食堂の前で、各国の『おはよう』という言葉を覚えてきて皆に声をかけ続けていた。戦略的に韓国だけが強くなりすぎないような気配りもしていましたね」。韓国の朴槿恵次期大統領が訪韓したロゲIOC会長に、テコンドーの存続を直訴したという話もある。