カトリック教徒11億人のトップ、ローマ法王ベネディクト16世がきのう11日(2013年2月)に開かれた枢機卿会議で、「高齢で、体力、精神力ともに職務をはたすのに適していない」として、2月28日までで退位すると表明した。ローマ法王は終身のものとされており、生前の退位は1415年のグレゴリウス12世以来、600年ぶりという。
少年時代はナチス青少年組織「ヒトラーユーゲント」
ベネディクト16世はドイツ・バイエルンの出身。少年時代にヒトラーユーゲントに入っていたこともあるが、本人は「強制だった」といってい る。戦後は神学の道に入り、35歳で称えた教会改革で注目され、1977年6月枢機卿になった。前法王ヨハネ・パウロ2世を側近として支え、2005年4月、第265代ローマ法王に選出された。
姿勢としては保守的で、2006年にはイスラム教を「邪悪」と語って物議をかもしたり、カトリック聖職者の未成年者への性的虐待への対応で批判を招いたりした。一方で、09年には懸案の東方正教会(ロシア)との和解をなしとげ、先頃はツイッターでの発信もして話題となった。
ドイツのメルケル首相は突然の退位に「決断を最大限尊重する」、イギリスのキャメロン首相は「イギリスとの関係強化につくした」とコメントした。アメリカのオバマ大統領も「09年のバチカン訪問を懐かしく思い出す。法王に感謝と祈りを捧げる」という声明を出した。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト