資産家夫婦が殺害された事件は、渡辺剛容疑者が逮捕されても全容解明とはいかないようである。『週刊朝日』は「犯人逮捕でも消えない『闇の勢力』主犯説」という特集を組み、闇の部分を解明しようとしている。殺害されたファンドマネジャー霜見誠(51)の新日本証券時代の元同僚は「死者に鞭打つことになってしまうが…」と言葉を濁しながら、こう話している。
「『なんか違うんだよね。正直、彼は最も近寄りたくない人間の一人。彼の周りには胡散臭い人間がたくさんいたから。自称ファンドマネジャー、本当は<仕手株の解体屋>なんです』
風説の流布まがいで株価つり上げボロ株売り抜け
仕手株の『解体屋』とは、業績不振企業の株を保有する人間から依頼を受け、風説の流布まがいで株価を釣り上げ、株主の保有する株を市場で売り抜けさせる者たちのこと。『証券会社時代はまじめだったかもしれないが、独立してから彼の周りにはそんな仕手株を扱うような輩が集っていた』(同前)事実、霜見氏は2008年のリーマンショック以降、投資でかなりの損失を出したとみられ、トラブルを抱えていたようだ。
『ファンドが暴落して顧客から猛烈なクレームがありましたが、「投資の失敗は、出資音の自己責任。仕方ない」と、謝りもせず話していた。これが一部の反感を買い、日本を出国するときに空港で待ち伏せされ、もみ合いになったこともあったようです』(先の知人)実行犯として逮捕された渡辺容疑者も、そうした一人と見られている。
渡辺容疑者は、もともと鯨肉販売などを手がける『日鯨商事』社長。独自の販路開拓や海外進出を試みる、野心的な経営者だった。同社関係者がこう語る。
『性格は行き当たりばったり。今の会社も、飲み屋で<鯨や高級魚が儲かりそうだ>と話していたら、たまたま一緒にいた人が<親類が宮城県で鯨関係をやっている>と言ってきたので、すぐ宮城まで行って話をつけて創業したんです』」