きりりとした顔立ちでいつもは自国の言い分を滔々と述べる中国外務省の華春瑩報道官が言葉に詰まり、一瞬、目を泳がせた。中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に射撃用レーダーを照射したことについて、きのう6日(2013年2月)の記者会見で質問され、「詳細はわからない。関係部門に聞いてほしい」と逃げ腰だ。中国外務省は日本が申し入れるまで知らなかったのかと聞かれると、数秒おいて「そう理解してもらって結構です。われわれも報道で知りました」。そう答えるのが精いっぱいだった。
元海将補「挑発ではなく、国際法上では戦闘行為」
レーダー照射について、元海上自衛隊海将補の田口勉氏は「これは挑発とはいえない。戦闘行為そのものとみなされても仕方ない。通常では、まともな海軍であれば絶対やりません」と語る。まさに一触即発の状況だった。だが、中国は「報道でしか知らない」とまともに取り合おうとしない。
テレビ朝日中国総局の青木俊憲記者は「中国は都合の悪いことはホームページに公表しません。レーダー照射についても公表していなくて、中国ではなかったことになっています。一部の新聞が日本の報道を引用する形で報じているだけです」と伝える。
司会の羽鳥慎一「現場の独自の判断だったのか、それとも裏で何か駆け引きがあるのか。中国ではなかったことになっているとのことですが」
コメンテーターの松尾貴史(タレント)「報道官もポイントのところでまばたきが多くなって、目が泳ぐんですよね。何か取りつくろうとしたのか、本当に軍が暴走したのかどうか…」
軍の暴走「日本挑発して先に撃たせれば戦争できる」
米国は日中間の対立がエスカレートすることを懸念し、パネッタ国防長官は「中国は領土問題を追い求めて他の国を脅かすような国であっては困る」と自制を促しているが、玉川徹(テレビ朝日ディレクター)はこう心配する。「軍事衝突は起きないだろうと思っている日本人が多いかも知れないですが、歴史をみると、1960年代に中ソ国境紛争があって、国境を流れる川の中州の島(ダマンスキー島)を巡って軍事衝突があった。どっちが先に撃ったか双方が主張し、最終的に核戦争の寸前までいった。
だから、中国はやらなくはないんです。日本になるべく先に撃ってほしいと思って挑発行為を繰り返し、偶発的なことがあってもいいぐらいに思っているんじゃないかと、私は考えます」
羽鳥は「なおさら冷静な対応が必要になってきますね」と言葉少なにまとめた。