柔道女子のパワハラ問題がいまだおさまらない。きのう5日(2013年1月)午後、全日本柔道連盟の吉村和郎・強化担当理事が辞任を表明した。徳野和彦コーチも遠征先のヨーロッパから帰国して、辞任届けを出した。入れ替わりに、女子チームがパリへ発ったが、みな固い表情だった。
ロンドン五輪代表発表をテレビ中継させ選手さらし者
吉村理事は「告発の意図がわからない」といいながらも、「一方的な威圧があって、選手には苦痛だったのかなとは感じる」「私の監督不行き届き。園田監督1人に背負わせてはいけない。最高責任者の私が辞めるのが順当。選手は本来の姿に戻って励んでもらいたい」と話した。
おととい公表された強化選手15人の告発声明文は、「監督1人に責任を負わせるのは私たちの本意ではない」と連盟の体質改善を求めるなかで、吉村を名指しして強化体制のあり方を問う厳しいものだった。
吉村はシドニー、アテネ五輪で柔道女子の監督をつとめ、10個のメダル獲得という実績を残したが、強化委員長で臨んだロンドン五輪では金1個に終わり、責任を問う声もあった。しかし、新設の強化担当理事に就任し、むしろ「昇格」となった。選手の声明はここを指していた。
選手たちの声明文は、ロンドン五輪代表選手の発表があった昨年5月、選手たちはホテルの一室に集められ、当落の瞬間の様子をテレビでナマ中継されたことにも触れていた。「互いにライバルとして、切磋琢磨し励まし合ってきた選手相互の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも失望し、強く憤りを感じた」とあった。吉村は「さらし者みたいでかわいそうなことをしたかな」と、あまり気にもしていないようだった。