女子柔道界の暴力やパワハラをトップ選手が告発した問題は、園田隆二監督の辞任では終わらなかった。強化選手15人がきのう4日(2013年2月)に声明を出して、あらためて全日本柔道連盟の刷新を要求した。「問題点が明らかにされないまま、監督の辞任で解決が図られるのは、私たちの真意ではない」という。
「前監督の責任にして解決というのは、私たちの真意ではありません」
告発した選手たちの代理人の弁護士が公表した声明は、「訴え出ざるを得なくなったのは、ナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。指導の名の下に、または指導とはほど遠い形で、暴力やハラスメントで心身ともに深く傷つきました。人としての誇りを汚されたことに対して、涙し、疲れ果て、監督の存在に怯えながら練習や試合をする自分に気づきました」という。
昨年9月(2012年)に最初に声を上げたとき、連盟は監督からヒアリングをし戒告処分をしながらも続投を決め、結果的に選手の声は黙殺された。先月31日に辞任した際も、園田監督は「暴力という認識ではなかった」といった。今回の訴えはそうした連盟の体質への強い疑義だ。
声明は「告発はJOCでも聞き入れられなかった」として、「ひとり前監督の責任という形をもって、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません」と訴えている。「今回の行動をとるにあたっても、大きな苦悩と恐怖がありました。柔道選手としての道を奪われるのではないか…深く悩みは続けてきました。私たちの声は拾い上げられることはありませんでした」と、スポーツ界に危機意識がないこと問題にしている。上村春樹・全柔連会長は「15人の選手の話を聞く。執行部批判は受け止めなければならない。組織について考えないといけない」と弁明する。