アメリカでも柔道女子の暴力・セクハラと似たような事件が発覚したが、対応はまるで違っていた。ニューヨークでスポーツ経営コンサルタントをしている鈴木友也氏によると、スピードスケート連盟傘下のショートトラック競技で、昨年8月(2012年)、五輪代表選手ら19人が暴力を受けた代表監督を告発したのだ。
米オリンピック委「弁護士事務所に調査依頼」「監督一時休職」
告発を受けた米国オリンピック委員会(USOC)は、調査をUSOCと利害関係のない第三者である大手弁護士事務所に依頼した。内部で形ばかりの事情聴取をしただけのJOCや全日本柔道連盟とは大違いである。また、告発されたら一旦その地位を外すという原則があり、このときも代表監督は休職している。
調査はスピーディーに行われ、2か月もかからず結論が出された。日本はどうか。全柔連が訴えを受けてから4か月たつが、いまだに第三者機関による調査は行われていない。
日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は「これは柔道だけの問題ではない。日本のスポーツ界の体質にあると感じている。暴力行為が行われていないか、早急に各競技団体の責任者にその旨を通達する予定だ」と語ったが、やはり誰もがスポーツ界にはびこる暴力的体質を疑っている。この問題の最中にも、アテネ五輪と北京五輪で銀メダルを獲得した伊調千春の母校・京都府立網野高校レスリング部で顧問の体罰的指導が浮上している。
人身御供出して組織温存はかる日本スポーツ界
コメンテーターの吉永みち子(作家)はこう指摘する。「全柔連に訴えたのに対応されなかったのでJOCにいった。これを重く受け止めないといけないと思いますよ。アメリカは個人なんですよね。日本は個人の問題なのに、組織全体の問題になってしまい、組織の浮沈がかかってしまう。なかなか言えないうちに体質が戻ってしまい根が深くなる」
園田監督の辞意表明の前日に、上村春樹全柔連会長のJOC強化本部長辞任が伝えられた。責任者が辞めればコトが収まるという考え方がおかしい。