中国の北京市はじめ、河北省、山東省、天津市が深刻な大気汚染に襲われている。北京市内は煙ったように視界がきかず、車は昼間でもヘッドライトを付け、高速道路では1日に約40台の衝突事故が起きているという。外出するときはマスク、ゴーグルは欠かせず、日本学校や欧米の国際学校は屋外の体育授業を取り止め、帰宅後も不要な外出をしないように生徒を指導している。
汚染された大気には、「PM2・5」という肺がんや喘息を引き起こす有害物質が多く含まれていて、北京では世界保健機関の基準の約20倍に達している。これが西日本に飛来しはじめているのだ。
肺がんや喘息引き起こす硫黄酸化物
PM2・5は車の排ガスや工場の廃棄物の燃焼で出る硫黄酸化物が主に含まれていて、国立環境研究所の新田裕史氏によると「呼吸器の奥深くまで入り込みます。そのための気管支炎を起こしやすい。ぜん息の持病がある人はさらに悪化します」という。
1月16日(2013年)、このPM2・5が九州地区に飛来した。「福岡市の市内6か所の観測所で通常の3倍の数値が出ていました。福岡市は国が定めた環境基準を超えた日が去年の4月以降に17日もあったという事です」(高橋さとみアナ)
飛来は吸収に限らない。おととしの衛星画像を見ると、中国内陸部で発生したPM2・5を含む偏西風が、北陸地方から東北地方まで覆い、山形・蔵王の樹氷にも付着していた。
山形大学の柳沢文孝教授「冬場は酸性の雪、春は黄砂に付着、光化学スモッグや酸性雨になって、日本へ降り注ぎます。影響は甚大です」
飛来しそうなときは、NHKの気象情報で注意報を流せないのだろうか。
(磯G)