愛知県立豊川工業高校陸上部は、全国高校駅伝で2011年までの14年連続出場を果たし、04年には準優勝、05、06年には3位に入った実績を持つ。その強豪校でまた顧問教諭による常態化した体罰が発覚した。
学校側は体罰を把握しながら愛知県教育委員会に報告していなかったが、竹本禎久校長が26日(2013年1月)の記者会見で明らかにしたところによると、体罰は次のようだった。
低血糖の生徒や女子部員殴られて転校・退学
昨年7月下旬、長野県の合宿で練習中に低血糖でふらふらしていた部員の男子生徒の顔を、教諭は平手で2発叩いた。このとき生徒の鼓膜に傷がつき、全治2週間のけがをした。ショックを受けた男子生徒は9月1日付で転校したという。この教諭は1か月後の昨年10月にも、他の生徒が見ている前で陸上部の女子生徒を平手で3発叩いた。女子生徒は登校できなくなり、12月に退学したという。
県教委に報告しなかった理由について、校長は「保護者や被害生徒から『伏せておいて欲しい』と求められたから」と釈明しながら、「教諭本人は『指導の一環としてやった』と言っている。ほとんどが顔へのビンタです」と指導を強調する。さらに、会見に同席した古川成之教頭は「(問題の教師は)教科指導や部活指導、生徒指導も最高の人間だと思っています。評判もいい。ただ厳しい。授業は人気あります」とかばう。保護者会でも顧問教諭について、保護者から「ぜひ、学校に残って欲しい」と言う声が出たと話す。問題の教諭は14年連続出場の実績が評判になり、指導法が本に取り上げられたりDVDまであるという。
桑田真澄「やり返されない中での体罰。一番卑怯な行為」
コメンテーターの前田典子(主婦モデル)「体罰の定義が広すぎますね。どうしたらいいんですかね」
青木理(元共同通信記者)「教頭は『最高の人間』というが、2人の子どもを転校、退学に追い込み、人生を変えてしまった先生を最高の人間と評価するのは異常ですよ」
元巨人軍投手で東京大学の特別コーチをしている桑田真澄氏も、スポーツで強くなることと体罰は関係ないと言い切り、こう語った。「絶対にやり返されない構図の中で体罰を行うのは、スポーツマンとして一番卑怯な行為だと思います。今まで体罰はいいとされてきたが、明日からはしないという判断と実行が大事です」
人の物を盗んだとか、悪質ないじめをしたとか、人としてやってはいけない行為を止めさせるために、手加減しながら教師や親がビンタをすることはよくあった。部活動強化のためのビンタが常態化したのはいつごろからだろうか。かつて元プロレスラーが意味のわからないビンタをし、そのビンタを楽しそうに受けるバカな姿がテレビで頻繁に流されたが、あのあたりか・・・。