アルジェリアの天然ガス施設襲撃事件で、日本人犠牲者は10人と最も多かった。政府は大急ぎで再発防止策をねっているが、どうやらピント外れに見える。最後に確認された日揮の最高顧問・新谷正法さん(66) の遺体の様子について、川名浩一社長は「最初に見た時は…」といってから長い沈黙のあと、「違ってほしいと願いながら、残念ながら 本人だろうと…。つらくて、つらくて」と話した。指輪でしか確認できなかったとは、相当なことだったのだろう。
アルジェリア人スタッフ「日本人は首と腰に爆弾を巻き付けられていた」
殺害を逃れた1人は、16日(2013年1月)午前5時40分にサイレンが鳴って、「ステイ・ザ・ルーム(部屋にいろ)」という声で身を潜めた。翌朝、日揮のアルジェリア人にまぎれ、頭にターバンを巻き、顔を隠して脱出した。その後ヘリの攻撃を見たという。
アルジェリア人社員の証言はもっと具体的だ。「建物の外に外国人人質が並んでいた。4人が日本人で、うち1人はけがをしていた。彼らは首と腰に爆弾を装着したケーブルを巻き付けられていた。みな静かだった」。翌日(17日)に人質は外へ出され移動がはじまったが、そこをヘリが銃撃した。アルジェリア人たちは逃げたが、車が次々に爆発した。「彼らは政府軍が攻撃するとは思っていなかったようだ」という。
銃撃されたなかには後頭部を撃たれた人もいた。爆発は自爆なのか、政府軍の攻撃によるのかはわからない。しかし、武装勢力は人質を連れ去ろうとしていた。攻撃されたことで始末した可能性もある。「みな爆薬をつけられていた。だから犠牲者も増えた」という。
若い木山聡さん(29)は事件発生当日、中東の衛星テレビの電話に「けがをしているが大丈夫と」と英語で答えていた。その彼がなぜ死んだのかは、傷から推測できるはずだ。武装集団の意図もわかるだろうが発表されていない。