大阪市立桜宮高校の体育系2学科の入試中止を受けて、入学を希望していた生徒たちの受け皿として府立高校体育科の定員増を話し合う「入試対応会議」(2013年1月24日)で、いい年した大人がまた大げんかだ。
「あの校長の名前入った卒業証書渡すんですか?」「府立高だってひどい」
入試対応会議には松井一郎府知事、橋下徹市長、大阪府教育委員会の蔭山英男委員長、大阪市教育委員会の長谷川恵一委員長が出席した。蔭山委員長が「桜宮高校の問題について、私たちとしてもひと言ふた言申し上げたいことがある」と切り出し、「あってはならないことが起きているという真摯な反省が残念ながら感じられない。卒業式の日にあの校長の名前が入った卒業証書を渡すんですか」と市教委を批判した。
これに長谷川委員長がやり返した。「蔭山委員長の申し立ては、僕はおかしいと思う。なぜかと言いますと、そちらの(府立高)2校もひょっとしたら凄まじい背景を抱えているのと違いますか? 自分とこの体育科の内容をもっとお調べになったうえで、今のコメントをわれわれに返していただきたい。私にしたら非常に不本意です」
「テレビカメラの向こうでみんな見てますよ」でやっと収束
バトルが続くと見た橋下市長が「ちょっと止めましょう」と割って入り、「自殺事件は府立高校は出てないんですよ。そこが決定的違いです。自殺なんですよ、これは」とたしなめた。すると、長谷川が橋下にかみついてバトル第2幕…。
橋下「長谷川委員長が就任されてから、桜宮高の(体罰の)現場が放置されていたんですよ。市教委の責任で全部やるって言うんだったら、自殺なんか起こさないでもらいたいですよ」
長谷川「市教委のほうから府の方にお願いしていくっていう視点でやると、また泥縄式の内容で手を打つのか」
橋下「もうそういう組織のメンツはいいじゃないですか」
松井一郎府知事から「委員長、これフルオープンでやっているので、子どもたちもカメラの向こうで見ているのですよ」といわれてようやくバトルが収束した。
結局、受け皿づくりは橋下が要請する形で1校の府立高体育科が定員を40人を増やすことで決着がついた。府教委と市教委の穏やかでない関係も想像できるが、コメンテーターの吉永みち子(作家)は「ここでバトルが起きること自体が、生徒たちのことより自分たちの組織のメンツを考えているのかということでしょう。市長と市教育委員長がバトルをやっている姿って不思議ですよ。橋下市長が任命した委員長ではないのでしょうけど」と呆れていた。