これまでイスラム勢力にとって、日本は「敵でも味方でもない存在」と考えられていたが、アルジェリアの天然ガス施設襲撃では真っ先に標的になれた。いったい何が変わったのか。進出企業も政府もこの大きな変化に気づいていなかった。
北アフリカで連携強める武装集団
司会のみのもんた「政府は今回の問題に全力で取り組んだと語っているが、どこまでできたのだろう」
与良正男(毎日新聞論説委員)「やれることは全部やったとしているが、政府がやれることには限界がある」。前防衛相の森本敏は「たくさんの課題が残されました。イスラムの過激派グループは、中東や北アフリカで横との連携を強化して勢力を拡大しています。これにどう対応するかという問題が残されました」と話す。
みの「自衛隊の駐在武官の派遣が手薄だったのではという見方も出ています。アフリカには2人の駐在武官しか置いていなかったことですが、このために自衛隊法を改正してはという議論も起きています」
森本は「拠点のようなものを作って人や資金を投じ、そこから派遣するというのがいいのか、人数は少なくても多くの国に派遣するのがいいのか議論の分かれるところです」と説明する。
欧州、アメリカ…に続く新しい標的
吉川美代子(TBS解説委員)「これまでイスラム過激派の標的は欧米でした。でも、今回は日本も狙われた。これは日本も欧米と一緒だと見られているからですか」
宮田律(現代イスラム研究センター理事長)は「19世紀以降、欧州勢が北アフリカに進出して植民地とし、第2次世界大戦以後はアメリカがイスラムに軍事的に介入して、欧米に対しては根強い反発があります。近年は多国籍企業が入ってきてイスラムの資源を奪っているという見方が、過激派グループの間では広がっています」と解説する。
みの「今後の対応をどうすれば今回のような事件が防げますか」
森本「イギリスやアメリカ、フランスなどと頻繁に情報交換を行うことです。とくにフランスは今回事件が起きたアルジェリアやマリを植民地にしていたので、豊富な情報を持っています」
宮田「過激派グループが台頭した背景には貧困問題があります。グループのメンバーになれば住居や食料が与えられる。中東の貧困問題を解決しない限り、彼らの活動は続きます」
この10年で世界的に格差が広がって、その差がどんどん大きくなっているという現実が背景にある。