安倍バブル売り時いつ?「もっと上がる!」週刊誌が騒ぎ出したら株価天井

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「失われた20年と呼ばれる、長く続いたデフレ不況の間に、日本人が失った最も大きなものは『自信と誇り』だろう。(中略)
   しかし、いま、潮目は完全に変わった。
   昨年末に政権交代で誕生した安倍政権が矢継ぎ早の経済政策を打ち出すと、つい先日まで8000円台に低迷していた株価が一気に1万円を突破、自動車・電機といった日本経済を牽引してきた製造業が息を吹き返し『反転攻勢』に打って出始めた。分厚く空を覆っていた閉塞感が消え、明るい光が日本経済全体に差してきたのだ。
   慶応大学経済学部教授の塩澤修平氏が言う。
『ここへきて日本人が誇りと自信を取り戻し始めています。今回の政権交代でこうした心理的な側面が経済を好転させるのにいかに重要な意味を持つのか、改めて示された形です。様々な新しい経済政策が表明される度に、人々が期待感を膨らませている。さらに今後、人々の期待感が安心感に変わっていけば、それがいっそう経済の好転を後押ししていくでしょう』
   『大幅な金融緩和をすればハイパーインフレの懸念が出てくる』などと、したり顔で説き始めている。それはまつとうな経済理論としては『正論』かもしれないが、そんな批判をいくら並べても経済がひとつも良くならないことを、日本人はこの20年で嫌と言うほど味わってきたのではないか。
   早稲田大学政治経済学術院教授の若田部昌澄氏もこう言う。
『1930年代初頭の昭和恐慌から日本が脱却する過程で、大手メディアなどが唱えていた主流派の経済政策は不況を深化させるばかりだった。当時も政局が動き、新内閣が誕生して『奇策』といわれていた政策に舵を切ったことで初めて、デフレ不況から脱することができたのです。
   いま日本経済は株価の上昇が人々の期待感を高め、これが投資行動を変え、さらに株高を演出している。今後、安倍首相自身が言う<インフレ目標2%を断固たる決意で確実に実行できる人>を日銀総裁に選ぶことができれば、期待感はさらに膨らみ、株高・円安がさらに加速、消費や生産、雇用の増加が始まるでしょう。そうなれば日本経済は10年以上に及んだデフレから脱却することができるのです』」

   これは「週刊現代」の巻頭特集「安倍バブル 株も土地もこんなに上がるぞ!」からの引用である。「週刊ポスト」も「利益を最大化するための安倍バブルの『売り時』」という特集をやっているが、現代とはやや論調が違うのは、以下のような書き方からもわかるだろう。

「安倍政権の新政策効果ではなく、突如出現したチャンスに乗り遅れたくないという人々の心理が、今の株高の真相ではないか。
   そう分析し、アベノミクスを真っ向から否定するのは、同志社大学大学院ビジネス研究科教授の浜矩子氏だ。
『アベノミクスは、期待感を煽っているだけで、実際の景気回復には直結しないで終わると見ます。日本は、10年このかた、金融緩和をこれだけ繰り返しても、何らプラス効果は出ていません。それなのに、規模だけやたら大きくすればプラス効果が生じると考えているのは時代錯誤です。
   安倍首相のアナウンスに踊って、今がチャンスだから株を買おうとか、リアクションが出ているだけ。雇用が増える、賃金が上がる、生活が楽になるといった本当の効果は望めません』
   それどころか、円安誘導のゴリ押しを続ければ、企業の輸入コスト、ひいては生産コストが上がる。にもかかわらず激しい価格競争を続けようとすれば、輸入コストの上昇分は給料を抑えることで調整せざるを得なくなるという。
『さらにいえば、今の株高・円安で庶民は本当に儲けることができるのでしょうか。投資資金のない非正規雇用者などにはまったく関係のない話でしょう。それでも、安倍政権は7月の参院選までは、必死に株高・円安策を打ち続け、投資家もそう読んでいるため、そこまでは上昇相場は続きそうです。
   そしてその時点で潤沢な投資資金を持つ海外投機筋や日本の富裕層が売り逃げて儲かるだけの結果になる可能性が高い。投資資金を持たない人々はインフレなのに給料が下がるという最悪の状況に追い込まれることさえ考えられます』
   様々に評価が分かれる安倍バブル。その真贋を見極めることこそ、上昇相場の『売り時』を見抜く秘訣のようだ」

プロたちの経験則は「一般の主婦が株に手を出したら危ない」

   「週刊新潮」はややシニカルに「上げ潮経済でも必ず損する『失敗パターン』の研究」というタイトルで、こう警鐘を鳴らしている。

「実力以上に膨らんだ株はいつかはしぼむ。そのタイミングを知ることは難しいが、投資家の間では、意外な経験則があるという。
『株の世界では<一般の主婦が株に手を出したら危ない>と言われます(中略)』(岩崎氏=博允・経済ジャーナリスト・筆者注)
   そして、BRICs経済研究所の門倉貴史氏によれば、そんなリスクを回避するためには、ある鉄則があるという。
『株取引で一番の敵は自分の主観です。人は得てして株が下がっているのに都合のよい情報だけを信じて持ち続け、逆に買い増しをしたりする。それを避けるためには、はじめから売値を決めておくことです。一般的には儲かっても損しても10~20%で強制的に手仕舞いしてしまう。<損切り>と<益出し>のルールを厳格に守ることが大事なのです』」

   ルール厳守ができればいいが、プロでもそれを守ることは難しいようだ。私にいわせれば、週刊誌が上がると騒ぎ出したら株価は天井に近いと思ったほうがいいのではないか。

   これまで幾度となくデフレからの脱却を試みてきたのに果たせなかった。民主党が唱えていた政治主導も結局は官僚のいいなりになるだけで終わってしまった。経済に疎い安倍総理も掛け声だけで終わるのではないか。そのとき残されるのが、小泉政権の時より厳しい生活苦と社会保障の切り下げだけであってはならない。メディアはバブルに浮かれるより、しっかりと安倍政権を監視することこそ役割だと心してもらいたい。

元週刊ダイヤモンド編集長の警鐘「隠れ倒産が一気に吹き出すこの年度末」

   「週刊ダイヤモンド」が「倒産危険度ランキング」をやっている。私の友人の松室哲生元週刊ダイヤモンド編集長がやっているメールマガジン「おもろい会社研究所」で彼がこう書いている。

「『なぜ倒産特集なのか――』。特集の本文はこの自嘲気味の一文で始まっている。テレビや大手新聞の報道では、円安・株高でにわかに景気回復への期待が高まっているかに見える。
   が、本当にそうだろうか。多くの一般人が『そんなに単純なものではない』と感じ、明日に不安を抱いている。現に大手家電の大赤字、中小企業にとって平成の徳政令と言われた『中小企業金融円滑化法』の期限切れなど、年度末に向かって厳しい状況が目前に迫ってもいるのだ。
   今週の『週刊ダイヤモンド』による『倒産危険度ランキング』は、そういった経済の実態・実感を突いたタイムリーな特集だ。金融関係者のみならず、目にしておくべき内容ではないだろうか。
   プロローグは『日本の倒産 最新事情』と題し、ここ数年減少基調にある倒産件数の裏側を図解する。電機業界の迷走、中小企業金融円滑化法による倒産の延命、地方経済の疲弊が見て取れる内容だ。そしてPart1.『大企業から壊れる! ドミノ危機の正体』、Part2.『判明! 危険度ワースト40』、Part3.『地方が壊れる! 中堅・中小の窮地』、Part4.『最新版倒産危険度ランキング』と続く。いまこのとき、会社存続のために奔走する経営者・会社員が大勢いる。この身も引き締まる思いだ」

「アルジェリア襲撃」これからも憎悪の連鎖に巻き込まれる日本人ビジネスマン

   アルジェリアのイナメナスで起きたイスラム武装勢力による人質事件は悲しい結末を迎えてしまった。総勢40人近い犠牲者が出た模様で、日揮社員の日本人17名のうち生存を果たせたのは7名だけのようだ。人命よりもテロ殲滅を優先したアルジェリア政府のやり方には憤りを覚えるが、そのような地へ行って長年プラント建設をしてきた日揮社員たちの無念さはいかばかりであろう。

   新潮によると、アルジェリアが民主化されたのは1989年。イスラム法による統治を目指す「イスラム救国戦線」が誕生したが、イスラム原理主義に反対する世論が高まって軍がクーデターを起こし、臨時政府ができてしまった。それをきっかけに、「イスラム救国戦線」を支持してきたイスラム過激派との間で衝突が起こり、内戦状態になってしまった。90年代にテロによる犠牲者は15~20万人ともいわれる。

   日揮は1928年創業の石油や天然ガスのプラント建設の大手である。新潮には高校を卒業して長年建設関係の仕事に従事し、アルジェリアへ行って今回の災難に遭って殺された60代半ばの渕田六郎がフェイスブックに綴った文章が載っている。

「燦燦と降り注ぐ星空を目指し世界各地で仕事をしている。現在はサウジ勤務。日本には3~4ヵ月の休暇を利用し一時帰国。次はアフリカ大陸に位置するアルジェリアに行き砂漠で星空を眺める事に期待を込めて!!」

   卑劣なテロ集団が次に狙うのは、アルジェリアはもちろん、チュニジアやニジェールといった周辺国のようだが、テロ集団は西アフリカ・マリ北部へのフランスの軍事介入に反対しているから、フランスもテロの対象になるという。実際、パリの街には自動小銃を持った3人組の兵士が大勢いて警戒しているという。

   憎悪の連鎖はまたどこかで新たな悲劇を生むことは間違いない。そうなれば再び日本人が巻き込まれることもありうるのだが、それを防ぐためにはどうしたらいいのだろうか。日本は島国だから、アメリカのようにテロを恐れて海外へ出ない人が増えることはないだろうが、これほどの犠牲者が出ると、紛争地域へ働きに行く人は減る。

鳩山由紀夫、ああ脳天気な!国賊だって?中国側もそこまで評価してないさ

   緊迫した世界情勢などどこ吹く風と、中国へ行き「日本列島は日本人だけのものじゃない」と脳天気なことを嘯いた鳩山由紀夫元総理に、新潮は「超法規『国賊罪』で鳩山由紀夫を逮捕しろ!」と憤慨している。

   1月15日(2013年)から18日まで、「中国人民外交学会」の招きで訪中した鳩山元総理は、尖閣諸島が係争中だと認め、南京大虐殺記念館でお詫びをしたというのだ。これは中国側の思う壺で、案の定、中国メディアは鳩山を賞賛し、1月18日付の『京華時報』はこう書いたそうだ。

「鳩山氏の姿勢は日本政界の理性の面を反映しており、安倍氏の姿勢は理性がない面を反映している」

   政界を引退して一市民になった人間が中国に利用されることもわからず動き回っていることに、新潮は我慢ならないようだ。

   日本政府は尖閣諸島には領土問題は存在しないといっているのに、中国に領土問題があると認めると日中で交渉せざるをえなくなるかもしれず、そうなれば中国側は尖閣諸島の共同管理案を出し、「日本は尖閣に対する主権だけでなく施政権も失い、日米安保が尖閣に機能しなくなります。そのとき中国は堂々と尖閣を占領できる」(評論家の石平)というが、考えすぎではないか。

   日本でまともに相手にされない、ましてや議員でもない人間が中国で何をいおうと日本政府が動じることはない。中国だって鳩山元総理の力をそこまで評価しているとはとうてい思えない。国賊で逮捕などと騒げば「ルーピー」鳩山元総理を喜ばすだけではないのかね。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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