「アルジェリア襲撃」これからも憎悪の連鎖に巻き込まれる日本人ビジネスマン
アルジェリアのイナメナスで起きたイスラム武装勢力による人質事件は悲しい結末を迎えてしまった。総勢40人近い犠牲者が出た模様で、日揮社員の日本人17名のうち生存を果たせたのは7名だけのようだ。人命よりもテロ殲滅を優先したアルジェリア政府のやり方には憤りを覚えるが、そのような地へ行って長年プラント建設をしてきた日揮社員たちの無念さはいかばかりであろう。
新潮によると、アルジェリアが民主化されたのは1989年。イスラム法による統治を目指す「イスラム救国戦線」が誕生したが、イスラム原理主義に反対する世論が高まって軍がクーデターを起こし、臨時政府ができてしまった。それをきっかけに、「イスラム救国戦線」を支持してきたイスラム過激派との間で衝突が起こり、内戦状態になってしまった。90年代にテロによる犠牲者は15~20万人ともいわれる。
日揮は1928年創業の石油や天然ガスのプラント建設の大手である。新潮には高校を卒業して長年建設関係の仕事に従事し、アルジェリアへ行って今回の災難に遭って殺された60代半ばの渕田六郎がフェイスブックに綴った文章が載っている。
「燦燦と降り注ぐ星空を目指し世界各地で仕事をしている。現在はサウジ勤務。日本には3~4ヵ月の休暇を利用し一時帰国。次はアフリカ大陸に位置するアルジェリアに行き砂漠で星空を眺める事に期待を込めて!!」
卑劣なテロ集団が次に狙うのは、アルジェリアはもちろん、チュニジアやニジェールといった周辺国のようだが、テロ集団は西アフリカ・マリ北部へのフランスの軍事介入に反対しているから、フランスもテロの対象になるという。実際、パリの街には自動小銃を持った3人組の兵士が大勢いて警戒しているという。
憎悪の連鎖はまたどこかで新たな悲劇を生むことは間違いない。そうなれば再び日本人が巻き込まれることもありうるのだが、それを防ぐためにはどうしたらいいのだろうか。日本は島国だから、アメリカのようにテロを恐れて海外へ出ない人が増えることはないだろうが、これほどの犠牲者が出ると、紛争地域へ働きに行く人は減る。