埼玉県で本来なら3月末で定年退職になる公立学校の教師110人が1月末(2013年)に希望退職を選び、なかの30人は学級担任をもっていた。「無責任だ」と批判の声も出ているのだが、ことはそんな単純なものじゃなかった。
国家公務員の引き下げ受けて、去年12月に大急ぎで条例改正
もとはといえば、昨年11月に成立した国家公務員の退職金引き下げの法改正だ。1月から段階的に約15%引き下げるのにともない、「国家公務員に準ずる」として自治体にも引き下げを要請した。16都府県が条例を改正し、7都県で今月から引き下げている。
埼玉は12月の県議会で条例を改正、周知期間をへて2月1日から実施と決めた。勤続35年以上の教諭(平均月給約40万円)の退職手当は、今月末に早期退職すると2720万円だが、3月末の定年退職だと2570万円に減る。2、3月の給料を加えても約70万円のマイナスにいうわけだ。
植田清司知事は「4月1日にすると遅れた分の39億円がかかる」として、不快の念を表明した。教員だけではなく県職員すべてに適用されるのだが、教員にまとまった希望退職が出たので話題になったようだ。県教育委員会は「辞めた先生の補充が大変。それを最優先に」と臨時採用で切り抜けるという。NNNが保護者30人に行ったアン ケートでは、「お金のことだから仕方がない」10人、「無責任だ」8人、「制度が悪い」7人だった。
教職員労働組合も困惑している。「みなさん、(突然の退職金引き下げに)抗議の意味で辞めたいとはいっていたが、担任だと残った業務を他の人に押し付けることになると思いとどまった人もいます」という一方で、「親が被災して家を流されたというような話、家のローンとか子どもの学費とかもある」と弁護する。それはそうだろう。先生だって人間だ。生涯設計だってある。
栃木、京都などの自治体、警察官など他の職種でも続出
司会の加藤浩次は切り口上で「30人も担任がいた」
キャスターのテリー伊藤「4月からにすればよかったんだ。70万円違ったらみんな辞めますよ。でも、他の県ではうまくやってるところもある。同じ人を臨時で採用するとか。 壊れるシステムを作る方が悪い」
本村健太郎(弁護士)「時期が悪い。先生を責められないと思いますよ。無責任というのはちょっと」
テリー「先生だって、最後を勤めて終わりたいでしょう。知事が39億円といってたが、もともと払う予定の金だ」
他の自治体も同じような問題が起きている。同じ2月が栃木、山梨、3月が愛知、京都、兵庫、高知。数の多いところ、少ないところとさまざまで、また教員だけじゃない。
加藤「少なくなっても全うしようという先生はいる。最後まで勤めてほしいと思うな」
テリー「70万円は大きい」
そう大きいんだよ、加藤さん。しかし、民間で定年を待たずに退職すれば「自己都合」となって不利なはずだが…。まさか再雇用制度の「再任用」が決まっているというのではないだろうな。