埼玉県で3月末(2013年)に定年退職する公立学校の教員が、続々と前倒しで辞める異例の事態となっている。理由は退職金だという。2月1日施行の県条例で退職金が減額されることになった。施行前に退職したほうが退職金が多い。そろばん弾くと、退職金の減額分が最後の2月、3月の給料より大きく、1月でやめたほうがもらいが多くなるケースがあるらしい。
東京新聞によると、勤続35年以上で月給40万円のケースでは、3月末までいると退職一時金が約150万円減るため、2、3月の給料を捨てても、1月末で辞めた方が約70万円多くなるという。
こりゃあ施行前に辞めたほうがトクだね!ということに気付いたセンセイ方は、生徒を置いてさっさと学校を去ってしまったらしいんである。今月末で退職する教職員は約110人で、退職者の約1割に上る。算数の授業向きのエピソードだ。
教職員組合は「4月からの施行ならこんなこと起きなかった」
「とくダネ!」では、2月1日という施行のタイミングが、「最後までつとめたマジメな先生が損をする」(笠井信輔アナ)仕組みをつくっていることへの違和感も伝えられた。かりに次年度4月1日施行であれば、もらえる給料が退職金の減額分を上回り、途中でやめる必要はないのではないだろうか。実際に教職員組合などは4月1日からの施行を求めていたそうだ。
埼玉県はなぜそうしなかったか。今年度から退職金を減額すると、埼玉県では(公務員全体で?)40~50億円もの人件費削減になるという。一部の計算高い人たちが施行前に退職したとしても、大半は道徳心や職場への配慮にしばられて辞めないだろう(全員辞めたらおそらく困るはずだ)とそろばん弾いて、「踏み絵」を踏ませたのだとすれば、こちらもちょっと世知辛い話ではある。