1月13日(2013年)に放送された「NHKスペシャル世界初撮影!深海の超巨大イカ」のダイオウイカ撮影のために繰り出されたアイデアには驚いた。40年間もダイオウイカを追い続けた博士の圧倒的な情熱、ひょうひょうとしたお人柄に「がんばれえ、先生~!」と声援を送りたくなってしまった。しかし、番組最後にお出ましになったダイオウイカ以上に驚いたのが、撮影のためにダイオウイカを誘い寄せるノウハウだった。
フェロモン撒いたり、おとりのイカ使ったり…
ネットでも話題になっているみたいだけど、ちょっと拍子抜けというか、力んで見ていたのに肩すかしをくらったように感じた人も多いと思う。広大な海でクジラに接近して、「エイヤっ」とばかりに竿を伸ばしてクジラの背中にカメラをくっつける。冷凍保存しておいたダイオウイカを細かく刻んで巨大フェロモン注射を作ってダイオウイカをおびき寄せる。最終的に成功したのは1メートルのイカをおとりに使う作戦で、「それが一番てっとり早かったんじゃないの。これって釣り感覚?」と不意打ちをくらったように思えた。
その作戦を実現させるためには、潜水技術、撮影技術など最新技術がなくてはならなかったのは理解できるけれど、子供が思いつきそうなアイデアを大人が心血注いでやっていることは感動的だった。もし宇宙人と遭遇しても、きっとおんなじようなアナログな方法でコンタクトをとったりするんじゃないかしら。遠く地球を離れて旅を続けるボイジャーのゴールデンレコードも、案外、そんなことから始まったんじゃないだろうか。