地方新聞情けない!過激描写の「渡部淳一文学」打ち切り…読者の声で腰砕け
作家・渡辺淳一が地方紙に連載していた小説が、その過激な描写に読者から批判が寄せられ、ほとんどの地方紙が止めてしまったという「週刊ポスト」の記事。かつて、日本経済新聞で連載した『失楽園』や『愛の流刑地』などは、過激さ故に部数が伸びたとまでいわれた渡辺文学だが、地方に密着している新聞では、一部にせよ批判の声があがると持ちこたえるのは無理なのであろうか。
地方紙17紙に掲載された『愛 ふたたび』は男性の不能をメインテーマにしている。インポテンツになった73歳の医師が、セックスの中で自分のものの異変に気づくところから始まる。
《「えっ‥‥」思わず声に出しかけて、息をのむ。「おかしい?」というより、「どうしたのか?」といった気持ちのほうが強い。「なぜ‥‥」とつぶやきかけて、医師の気楽堂は自らの手で、自分のものに触れてみる。だがそこは、なにごともなかったように静まりかえっている》
中高年男性にとって切実な問題を扱っているこの小説は、去年7月(2012年)に連載がスタートした。主人公が不能を乗り越えて新たな愛の形に踏み込んだ矢先の昨年末に突然連載が終わってしまった。
新聞社が読者からの反発が強いと言い出したというのだ。渡辺は始めに「かなり過激な描写もある」と新聞社側には伝えてあったというのに。結局、17紙のうち、いまも連載を続けているのは2紙だけ。新聞に覚悟などといっても詮無いことだが、始める前からかなり大胆なセックス描写があることはわかっていただろうに、読者の批判の声に屈してしまうのでは、作家としては納得しがたいだろう。たとえインポテンツになっても女を愛することはできるそうである。この春に幻冬舎から単行本として出るというから、楽しみに待とう。