9条改正派学者も「国防軍改称、集団的自衛権で憲法改正必要ない」
さらに、ポストは「自民党改憲草案」には4つの重大問題があるとする。「『国防軍創設』(9条改正)に憲法改正は本当に必要か」と問う。9条改正論者の小林節慶応義塾大学法学部教授でさえ、自衛隊を国防軍に改称するだけなら憲法改正の必要はないといっている。
「憲法改正しなければできない国防軍の活動があるとすれば他国への侵略戦争だが、それは自民党の憲法改正案でも禁じている」(ポスト)のだから、9条改正の目的は集団的自衛の行使への道を拓くためだと見られる。だが、先の小林教授は、日米安保条約を結んでいるのだから、竹島、北方4島、尖閣諸島に急迫不正の侵害があった場合は、集団的自衛権を有しており、憲法改正は必要ないとしている。
2点目「なぜ『基本的人権の由来』(97条)を削除するのか」では、自民党は国家の権力を制限するためにできた立憲主義を覆し、統治者側の視点から国民の権利を制約する押し付け憲法を目指していると批判する。
第3点は「メディアを縛る『表現の自由』(21条)改正は大問題」だとする。21条は言論表現の自由を定めたものだが、そこに自民党案はこういう文言を入れているのだ。「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない」
公の秩序を害すると判断するのは権力側である。これでは権力監視なども「害する」と判断されてしまう可能性が高い。日本から言論表現の自由がなくなることを意味する。
第4は「中央集権の固定化をはかる『地方自治』(92条)改正」。橋下大阪市長がいっているような地方分権は退けられ、「地方自治を住民サービスの実施に限定したうえで、これまで憲法に位置づけられていなかった、国が税金を徴収して地方に分配する財政調整機能(地方交付税)を新条項として盛り込んだ。これでは、中央集権体制の固定化であり、、『財源は地方に渡さない』といっているのに等しい」(ポスト)
憲法改正といっても、自民党と維新やみんなの党の方向性は正反対だから、改憲政党の中でも大きな対立が起きるとポストは結んでいる。