第148回の芥川賞・直木賞がきのう16日(2013年1月)に発表になった。芥川賞には史上最年長となる75歳の黒田夏子さんの「abさんご」、直木賞は2人で、戦後最年少となる23歳の朝井リョウさんの「何者」(新潮社)と安倍龍太郎さん(57)の「等伯」(日本経済新聞出版)に決まった。
選考会は「違和感で立ち止まらせる表現が瑞々しい」と評価
黒田さんは東京生まれ。幼いころから詩や文章に目覚め、大学を出たあと教師から校正者になって、25歳で短編賞を受けたが長編に思いを定め、10年に1作のペースでストイックに書き続けた。同じ作品で昨年、早稲田文学新人賞を受けたのがデビューという遅咲きである。61歳で受賞した森敦さん(「月山」)を抜いて最年長受賞になった。
受賞作は昭和の家庭の親子の愛情を描いたものだが、ひらがなを多用して固有名詞やカタカナを排し、しかも横書きという表現方法が選考会で高く評価された。受賞の弁は「嬉しいのが半分。思いがけないのが半分」「自分には書くことしかないというのは、幼児期から思っておりました。無名のままでもずっと書き続けようと」
直木賞の2人はいずれも2度目の候補での受賞だ。安倍龍太郎さんの「等伯」は安土桃山時代の絵師・長谷川等伯の生涯を描いたもの。朝井リョウさんの「何者」は大学生の就活を描いた。いまは会社員だが、最年少という話題のおまけもついた。
朝井さんは早大在学中の2009年 に「桐島、部活やめるってよ」でデビュー。小説すばる新人賞を受けて映画にもなった。「これからの夢は、本を出し続けていくこと。一生やめないこと」という。