大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将だった男子生徒が顧問教諭から体罰を受け自殺した問題が新たな段階に入った。橋下大阪市長が体育学科とスポーツ健康科学科の「今春の入試を中止すべきだ」と表明したからだ。
「このまま生徒募集続けるのは大阪の恥」
橋下は体罰問題について市教育委員と意見交換したなかで、2学科の入試中止を強く主張した。「バスケ部やバレー部の問題にとどまらず、体育科の問題として(生徒の)受け入れ態勢ができていないと判断している」と言う。「再考もあり得るが、(生徒の)募集を続けるのは大阪の恥だ」とも語っている。
これに対し、大阪市教育委員会の長谷川恵一委員長は「すぐには受け入れがたいところがある。この時期の入試中止は混乱を生じる」と反論した。
桜宮高校の来年度(2013年度)の募集要項は、体育科とスポーツ健康科学科合わせて120人で、2月13日から募集を開始し、20日から国語、数学、英語、運動の入試が行われることになっている。橋下は体育系2学科の120人を「普通科の枠として受け入れたらどうか」と提案しているが、入試科目が異なっており簡単にはいかない。
真意別のところにある「橋下文法」を解釈すれば…
コメンテーターの萩谷順(法政大教授)は、橋下発言をこう見る。「市長の『対策を講じるまで体育科の入試を止める』という発言に答えが出ていますよ。『橋下文法』をずいぶん見てきたし勉強もしてきましたが、市長の言う対策は市教委が考える対策ではなく、教員の総入れ替えとか市教委の入れ替え、普段ならできない改革をこの機会にやってしまおうというのがあるから、こういう言い方をしているのではないでしょうか。この文法は政治的に解釈するしかない。原発を止めるといって動かした人ですから」
入試まであと1か月余り。市政トップの『文法』が政治状況でクルクル変わるのでは、目指してきた子どもたちはたまらない。といって、体罰に見てみぬフリをし放置してきた学校や市教委の責任を曖昧にしたままでは、再発の不安が残るだろう。