中国・北京では過去最悪の大気汚染で外出を控えるよう警報まで出ている。毎年、冬から春先にかけて発生するが、今年はとくにひどいという。北京市民は「空気がよくないのでノドの調子が悪いです」「呼吸器の病気が心配です」という。
発がん性もつ「PM2.5」環境基準の26倍
北京市内の大気汚染の原因は、車の排出ガスや暖房に使われる石炭に含まれる「PM2.5」と呼ばれる有害物質だ。直径2.5マイクロメートル(1ミリの100分に1)以下の微粒子が、大量に空中に浮遊しているのだ。日本の環境基準では1日平均1立方メートルあたり35マイクログラムだが、北京では一時900マイクログラムと、25倍を超える最悪の汚染状態になったという。
国立環境研究所の佐藤圭主任研究員によると、人体への重大な障害が無視できない状態という。「PM2.5は肺の奥や血管に侵入しやすく、粒子の一部分には発がん性があるものが含まれています」という。
喘息やアレルギー疾患あると死亡ケースも
中国の大気汚染の日本への影響を調べている大分看護科学大学の市瀬孝道教授は、「すでに日本でも影響が出ています。涙が出たり、鼻のアレルギー症状がでたり、咳が出たりなどの症状がみられますから…」と警告する。北京では喘息をもった60代の女性が死亡したが、もともと喘息やアレルギーを持っている人は最悪の事態に陥る可能性もあるという。
コメンテーターの宮田佳代子(元ニュースキャスター)は「子どものことを考えてしまいますね。喘息とかアレルギーの子どもってすごく多いんですが、もしかして(中国の大気汚染が)影響しているかもしれないとすると、ひと言いいたい感じになってきましたね」と不安そうだ。
館野晴彦(月刊『ゲーテ』編集長)「1970年代は光化学スモッグなどが日本でもあったが、北京は視界が暗くなるぐらいですからレベルが違う。当局がコントロールできない不思議な国だなと思いますね」