ジャン・バルジャン(ヒュージャック・マン)は19年間囚人として服役し、仮釈放中に出会った神父の優しさに触れ、生まれ変わろうと誓う。やがて市長の地位に着くが、そんな彼を警官ジャベール(ラッセル・クロウ)は執拗に追いかけていた。そんな中、ジャンは娘のために体を売る母親ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)と会い、病に倒れた彼女から娘コゼット(アマンダ・セイフライト)を引きとる。
ジャベールから逃れるためコゼットとパリへ移り、コゼットを何不自由ないように育てる。美しい娘に成長したコゼットは学生運動に参加する青年マリウス(エディ・レッドメイン)と恋に落ちるが、パリでは激しい革命運動が起こり、激動の時代に飲みこまれていく。
文豪ヴィクトル・ユゴーの大河小説が、1985年からミュージカルとして演じられ多くの人に愛されている。監督は「英国王のスピーチ」のトム・フーバー、製作は「オペラ座の怪人」のキャメロン・マッキントッシュである。
ヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウ「正義と法の対決」見ごたえあり
ファンテーヌを演じたアン・ハサウェイが悲しみにくれながら、魂の叫び「夢やぶれて」を見事に歌い上げる。イギリスのオーディション番組で、スーザン・ボイルが熱唱して大評判をとった曲だ。アンだけでなく、アクションスターの印象が強い主演のヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウも吹き替えなしで歌っている。とくに、執念の警官ジャベールを演じたラッセル・クロウの演技は圧巻で、「正義」に生きるジャン・バルジャンの対局にある、「法」に生きる男の存在感は見事である。
二人が互いにぶつかるシーンは最大の見どころともいえる。銀の燭台を盗んだジャン・バルジャンは、「自分があげたのだ」と許した神父の愛で改心し、受け取った愛をひとりぼっちでいたコゼットに注ぎ、またコゼットも人を愛す。この「愛の連鎖」がとても美しく描かれる。2間38分という長編だが、長さを感じさせず、テンポよく物語は進む。美しい歌声のミュージカルながら、終盤は銃声や爆発音が鳴り響く壮大な映画だ。見終わった後も、しばらくは大迫力の合唱の余韻が消えず、いつまでも映画館に残っていたくなる作品だ。
PEKO
おススメ度☆☆☆