「安倍バブル」株買え!不動産買え!プラチナ買え!煽るだけ煽って参院選後に破裂?

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   「『私は、ツナミのあった3・11以降、一貫して日本株を買っている。個別の銘柄には言及したくないが、最近もアベが総選挙で勝つことが確実な情勢になった時点で、日経インデックスを買い増した』

   かつてジョージ・ソロスと共同でファンドを設立し、<伝説の投資家>と呼ばれるジム・ロジャーズ氏は、本誌の取材にこう明言した。

   ロジャーズ氏の目に曇りがなかったことは間違いない。安倍晋三氏が自民党総裁に選ばれた昨年九月二十六日に約八千九百円だった日経平均株価は、一月四日の大発会では約一万七百円をつけた。三カ月余りで二○%もの急上昇である。

   ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長は、昨年の総選挙前に『ウィ・ウォント・アベ』と述べたが、まさにその通りの展開となっているのだ。

   当面、株式市場の勢いは衰えなさそうだが、この活況はいつまで続くのか。

   ロジャーズ氏はこう語る。

『今年の日経平均株価がどこまで上がるか、それはなんとも言えない。一年はとても長い期間だし、私は物事の推移を見守りながら投資の判断を下すからだ。よって、いまここで<予想>を伝えることにはあまり意味がない。一つだけ言えるのは、私はまだ保有している日本株を手放すつもりはないということだ。それが十年後になるのか、もっと早い時期になるのかはわからないが』

   世界的な影響力をもつ経済紙フィナンシャル・タイムズは、安倍政権の経済政策を念頭に置き、日本経済を好意的に取り上げている。

   『二○一三年の逆張り投資、日本株が一番人気』と題した記事ではこう書いた。

〈ファンドマネジャーやストラテジストらが提案する、最も人気のある逆張り投資先の一つは、二十年余りずっと投資家を失望させてきた投資先だ。日本株である〉(一二年十二月二十日付)

   十二月二十八日には、『「日本の経済政策、安倍政権は時計の針を戻すのか?『今回の成長戦略は九○年代のバラマキとは違う』」と題した記事も掲載している」(週刊文春)

   「『今年はロケットスター卜を切りたい。日銀の金融政策が決定的に重要だ』

   4日の年頭記者会見で、2%の物価目標ばかりか、為替についても、日銀に責任の自覚を迫った安倍首相。

   政権トップの声に、多くの機関投資家が『円売り・日本株買い』に全面シフトの様相だ。円安の恩恵を受ける輸出関連株を巡っては、『今、買わないやつは愚か者』とまで言い切る専門家もいて‥‥。

   『辰巳天井』――これは投資家に伝わる格言である。確かに辰年は、日経平均株価の平均上昇率が十二支中、1位。巳年も前々回の89年には30%近くも上昇し、約3万9000円の史上最高値をつけた経緯がある。こうした投資家の願望通り、目下のところ、株価は右肩上がりの状態だ。

『この傾向が続けば、年内に為替は1ドル=95~100円まで円安が進み、平均株価は1万3000~1万3500円まで上がると予測できます』

   大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏はこう語るが、さらなる円安を予測する専門家もいる。

『私は2007年当時の1ドル=120円まで、ほぼ一本調子で戻ると見ています』

と言うのは、蔦峰義清・第一生命経済研究所首席エコノミストだ。

『アベノミクスヘの期待以上にドル高要因も強まっているからです。アメリカは6年前に住宅バブルが崩壊しましたが、その借金の清算がようやく終わり、今年は痛手から脱却できそうなのです。米経済が回復すれば、為替も以前の状態に戻る。来年中には120円まで行くと思います』

   こうなると輸出関連株に虎の子を注ぎ込みたいと思うのが人情だ。しかし、所詮、株は博打のようなもの。一体いつまでが安全な『買い時』なのだろうか」(週刊新潮)

プロの手堅い予測は「株価1万2~3000円」「円は1ドル90円台」まで

   「本格的な政権運営が始まり、政策実行への期待感が高まる中、この『株高』はどこまで続くのか。

   カブ知恵代表・藤井英敏氏はこう予測する。

『世界経済はリーマンショックを機に、インフレに脅える時代からデフレ圧力に晒される時代へと転換しました。米欧が金融緩和へと大きく舵を切る中、日本だけがブレーキを踏み続け、景気が悪いのに円高が続き、ますますデフレが進むという悪循環に陥っていた。それがようやくアベノミクスでアクセルを踏む段階に入ったのです。
   今後は円資金が溢れることで円安が加速し、一層の金融緩和や公共事業投資といった景気刺激策が打ち出される。その後、消費税引き上げが現実のものとなり、デフレ脱却からインフレ懸念へと転じ、日銀はゼロ金利解除というブレーキを再び踏む時がいずれ訪れますが、少なくとも2015~16年まで続く大相場になると見ています』

   一時の熱狂ではなく、あと2~3年は続く株高の入り口にあるというのだ。

『目先では米国の「財政の崖」問題が3月頃までくすぶり続けるため、日経平均も1万1000円程度までの上昇でしょうが、それがクリアされれば1万2000円台、さらに7月の参院選で自民党が圧勝するようなことになれば、リーマンショック前の1万3000円台まで一気に行く可能性もあります』(藤井氏)

   民主党政権による『失われた3年半』を取り戻すような強い値動きが期待される中、有望なテーマとは何か。『国策に売りなし』という相場格言があるように、国の政策に沿った銘柄は市場で素直に評価される傾向が強い。ならば、安倍政権が打ち出す『金融緩和』、それに伴う『円安』への反転、そして10年間で200兆円規模ともいわれる『公共事業投資』が株価動向に大きな影響を与えると予想される」(週刊ポスト)

   挙って「安倍バブル」礼賛である。「週刊現代」の経済のプロ50人が「安倍バブル」をどう見ているかをアンケートした巻頭記事では、サブに「わずか半年で天井越え!とにかく上がる上がる」とあるように、株を買え!と連呼し「日経平均2万円へ」と煽る煽る。

   だが、表をザッと見てみると、多くのプロが予想しているのは1万2~3000円で、円高予想も90円台がほとんどである。2万円まで上がるなどと予想しているのは森永卓郎だけで、円が110円まで下がると予想しているのも3人だけだ。これを読んでいると、バブルの頃の現代を思い出す。株を買わないのはバカだといわんばかりの誌面づくりが毎号続いた。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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