先週土曜日(2013年1月5日)、警視庁の捜査員が江ノ島でネコを追っていた。昨年4人の誤認逮捕を出した「パソコン遠隔操作」の犯人は、これまでネットの世界でしか接点がなかったが、実世界へと姿を現した。その手がかりが1匹のネコだった。
「アドレスは解約した。もうこれ以上何も発信しない」
真犯人と思われる人物が年明けの1日に、「明けましておめでとう。新しいゲームのご案内」などと捜査関係や報道機関に送りつけてきたメールには、東京・埼玉・山梨の県境にある雲取山山頂に遠隔操作ウイルスのプログラムなどを入れたUSBメモリを埋めたと書いてあったが、警察は発見できなかった。5日未明のメールは「新春パズルの延長です」として、SDカード付きのピンクの首輪とその首輪をつけたネコの写真があった。江ノ島のネコを捜せということで、日本テレビの記者がネコを特定した。
警視庁が回収したSDの解析では、「このゲームを勝ち抜いたのは君達が初めてです」「自分は以前、事件に巻き込まれたせいで、無実にも関わらず、人生の大幅な軌道修正をさせられた」というメッセージがあった。指紋などは検出されなかった。
江ノ島には防犯カメラが35台あり、そのうちのいくつかに、ネコの周辺で写真を撮る若い男性など複数の人物が写っていて、ネコを撮影した場所も展望台近辺と特定された。その間のどこかで真犯人はカメラに身をさらしているはずだ。このネコは近所ではよく知られているらしく、「4日の4時から5時には首輪はなかった。夜には付いていた」という目撃証言もあるから、時間も絞られる。
SDのメッセージには、「アドレスは解約した。もうこれ以上何も発信しない」とあったというが、それが何を意味するのかはよくわからない。犯罪評論家やIT評論家は犯人像をいろいろ言っているが、どれも根拠があるわけではない。