大阪市立桜宮高校のバスケット部主将の2年生男子生徒(17)が、顧問教師(47)の度重なる体罰に苦しんで自殺した。弁護士の若狭勝(元東京地検特捜部副部長)は「頬が腫れあがるまで殴ったというのは、体罰うんぬんのレベルではありません。度が過ぎている。暴行、あるいは傷害容疑にあたり、犯罪の可能性が高い」と語気を強めた。
市教委「体罰はなかったと聞いていた」
自殺した男子生徒は先月23日(2012年12月)、自宅で制服のネクタイで首を吊った。自殺する前日、母親に「きょうもかなり殴られた」と腫れ上がった顔で告白したという。生徒の通夜に訪れたバスケット部の顧問教師は、「息子の顔を見てくれ」と迫る母親に、体罰を加えていたことを認めた。バスケット部OBは「しょっちゅう行われていた。物を投げつけられたり、蹴られたり殴られたりしたことが何度もあった」と話す。
この顧問教師の体罰については、大阪教育委員会に昨年から通報があった。これに対して、市教委は「学校側でクラブの顧問教師たちから聞き取り調査をしたようだ。この結果、体罰はなかったと判断した。今回の顧問教師も否定していた」と説明する。
校長も注意ためらう「優勝実績」
教育評論家の尾木直樹は「桜宮高校はバスケットの名門校で、優勝だ、準優勝だと実績を上げれば、体罰があっても生徒はなかなか言えなくなります。また、校長もそれだけの成績を上げている顧問に物が言いづらくなる」と話す。
コメンテーターの慶応大教授の片山善博「こういう問題教師をチェックし、取り締まるのが教育委員会の役割ですよ。そのリーダーが教育長で、教育長を任命するのが市長。橋下大阪市長は行政の最悪な失態だと語っているが、その責任の一端は橋下市長にもある」
これは生徒同士のいじめとはわけが違う。顧問教師は生徒たちを自分の評判を上げるための道具として扱っていたということである。