シェールガスで世界パワーバランス激変!石油の中東、天然ガスのロシア影響減退

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   新春初の放送は1時間15分の拡大スペシャル版となった。テーマはエネルギー問題で、ひときわ明るく光る夜の日本列島を映した高度400キロの衛星画像から始まり、2013年は日本のみならず世界的にもエネルギーが最大の関心事になるとナレーションがかぶさる。

   福島第1原発事故で原子力発電に対する信頼は揺らぎ、各国は原発政策を見直し始めている。その代替エネルギーとして注目されているのがシェールという新たなガスや石油だ。キャスターの国谷裕子は「インドや中国などの経済成長で、2035年まで世界的にエネルギーの需要と消費が増加すると見られています。一方、シェールの推定埋蔵量はアメリカ周辺に集中していて、これまで中東を中心に作られてきたエネルギーのパワーバランスや、国家間の安全保障まで揺るがそうとしています」と語る。

エネルギー源分散進めるヨーロッパ

   その象徴的な例がロシアの天然ガスだ。これまで、ロシアはパイプラインを通じて東欧を中心に欧州へ天然ガスを送ってきた。ゲストの立正大・蓮見雄教授は「しかしこの数年、ロシアは欧州各国から天然ガスの値下げを求められています。そこで、ロシアは新しいマーケットとして日本やアジア諸国を狙っています。現に、シベリアから東シベリアまでのパイプラインが完成しています」と、ロシアのエネルギー戦略に変化が起きていることを伝えた。

   国谷「東欧諸国はかつてのロシアの脅威を体験しているから、エネルギー源の分散化を進めています。また、欧州諸国も同様にアルジェリアから買うなど、エネルギー源の多極化を進めています」

日本のシェール依存度わずか4%

   日本エネルギー経済研究所の小山堅常務理事は「これまでの化石燃料や原子力をエネルギー源として経済成長を図るという方法は限界に来ています。日本では次のエネルギー源として風力発電が注目されていますが、たとえば風力発電が盛んな北海道と本州の間では送電設備が繋がっていないという現実があります。日本ではシェールをエネルギー源として使用しているのは、総発電力のわずか4%です」と話す。

   国谷「中国、韓国、台湾と日本周辺の3か国だけでも合計120基の原発があります。もし、福島原発のような事故が起きたら、日本はどうしたらいいのでしょうか」

   日本総研の寺島実郎理事長)は「今回のエネルギー危機は深刻な事態です。エネルギー問題に対するこれまでの意識や発想方法を変え、安定したエネルギー源を確保するために、アジア諸国との連携を考えるべきでしょう」と語る。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2013年1月7日放送「エネルギー大変革~岐路に立つ日本の資源戦略~」)

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