安倍内閣の仕事始めとなった7日(2013年1月)、さっそく出てきたのが13兆円に達するといわれる大型補正予算の中身だ。どんな狙いが込められ、成果のメドはどの時点なのか。
13兆円超のうち公共事業費が地方自冶体負担分を含め4兆円を超える規模になるという。これは2012年度1年分の公共事業費4兆5734億円に匹敵する。その中身だが、学校や病院の耐震化工事、老朽化した橋やトンネルの補修工事、次世代自動車充電インフラ整備促進事業などがあがっている。
安倍内閣の至上課題「とにかく参院ねじれ解消しろ」
司会の赤江珠緒が「この大型補正について安倍総理の狙いは?どのへんにあるのでしょう」と聞く。政治アナリストの伊藤惇夫は「政治的な視点で言えば、参院選前に景気が回復したという実感を多くの国民が感じるような状態を作り出し、参院のねじれ状態を解消することが基本戦略ですね」という。
しかし、参院選は今年7月で、そんなに早く景気回復が本物で持続可能な状態がやってくると実感できるのか。第一生命経済研究所の首席エコノミスト嶌峰義清はこう見る。「昨年から減速感が強くなっていたわけで、早期に景気を立て直す意味では13兆円という規模は十分だと思いますね。ただ、これでデフレ脱却できるというほど簡単ではない。ここからどう継続していくかが重要になるってきます。
これだけの規模の政策を行い、10年間で200兆円とかいう数字も出ているが、財政再建が厳しい中で、将来的に日本の成長率を押し上げ、税収の増加につながるということを担保にしている。その保証が切れてしまうと、内外から厳しい目で見られるので慎重にやっていく必要があります」
デフレ脱却にはまだ5年…成長路線失敗したら目も眩む巨額財政赤字
スポーツキャスターの舞の海秀平「どういう公共事業が良くて、どういう公共事業が悪いのか、ちょっと聞きたいのですが」
嶌峰「将来、日本のあるべき形、育成すべき産業を出していって、それによって国内の成長率を上げる。あるいは、世界に売っていけるような産業の育成なら、むだのない、将来に期待の持てる公共事業といえるでしょう」
赤江珠緒キャスターが「成長が進むようになるまでに時間がかかるが」と突っ込むと、嶌峰は「デフレ脱却には3年から5年かかります。その間の成長を支えるのは公共投資であり、円安に持っていくことによる輸出促進。この5年くらいに間にメドをつけ、日本の潜在成長力を押し上げるところまで見えてこないと、財政がムダに使われたことになる」と指摘した。
今年8月に4~6月期の経済指標が出揃うのを待って、今秋にも3党で合意した消費税率3%アップを来年4月から実施するかどうか決める。元ニュースキャスターの宮田佳代子から「この半年ぐらいで円安に振れ、株価がアップし、雰囲気がよくなったような気にさせられただけで消費税アップが決まるのは解せないですね」と厳しい意見が出た。
安倍新政権誕生で自民党が本当に変わるのか、成長が持続可能な経済に浮揚するのか。ここ半年、国民もよく見ておく必要がある。