「アベノミクス」に対する「とくダネ!」の入れ込みようときたら、かなりのものだ。おカネを増やしてインフレにして、円安にして、公共事業をやったれば、好景気でみんなハッピー!?理論が繰り返し語られている。アベノミクスは韓流ブームにとってかわったかのようだ。
いやいや、そういうことをやってると日本の借金がどんどん膨らみ、お国のおカネは国際的な信用を失ってクビが回らなくなる。「ギリシャ」になるぞ――といった見方は、もう流行後れである。アベノミクスへの疑問は、この番組やコメンテイターの口の端にちょろちょろと上るが、大きな流れにはならない。「ネガティブなところだけ見ても、意味はない」(竹田圭吾・国際ジャーナリスト)などと、「期待」が疑問を抑え込んで、すっかり強気の上げ潮ムードが形成されている。
物価上昇・増税に追いつけず「好景気」実感できない国民
じつに景気がよろしい感じなのだが、けさ方(2013年1月8日)の「とくダネ!」で、好景気と(サラリーマンの)給料の相関への「疑問」に差しかかると、そう強気でもなくなった。経営者連中や出演者はこの点では総じて慎重な態度なようである。
「景気を一時的に良くするのはむずかしいことではないが、いい状態が持続的に続いたり、経済が成長していくのは別の話だ」「経営者も、(給料増は)次のステップに行ってからというのはあるかもしれない」(竹田)
「経済がちょっと上向いても、経営者は給料上げましょうとは言えない。蓄えを考えないといけない。給料に還元されるのはどれぐらい先になるのかが、国民にとっては一番気になるところだと思いますけどね」(小倉智昭キャスター)
インフレ円安増税のなかで所得は上がらないとなれば、国民は「好景気」に踊ってもいられないかもしれない。