「ボートはよく落ちるのでライフジャケット付けない」
なぜ風速の強い日に練習を強行したのか。指導に当たった県ボート協会が事故後に記者会見したが、魚地利明ヘッドコーチから語られたのは呆れるほどの安全管理に対する認識の甘さだった。
―練習中止の基準はあるのか。
「風速ということでは判断できません。4メートル以下でも波が出ることがあるので。やはり経験、感覚に頼ってしまった部分があったかなと…」
―ライフジャケットをつける基準は?
「ないですね。落ちるのはボートでは何回もあることです。落ちるときの対処方法はすべて一応指導しております」
練習前に安全確認をしていなかったほか、練習中止を決定したのは2隻のボートが転覆してからだった。取材したリポーターの井口成人は「だいたい中止の決定が遅いんですよ。転覆しているのだから中止もへったくりもない」と怒る。
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「転覆の危険がありながら対策を考えていない。合理的な考えに基づいて行われていなかったのだと思う。こういう体育系はね合理性より根性が前面にし出てしまう」
高木美保(タレント)「訓練で溺死は防げるが、低体温症は訓練では防げない」
まさしくその通り。経験と勘だけが頼りのコーチに指導されては、命がいくつあっても足りない。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト