千葉県東庄町を流れる利根川支流の黒部川で、競技用ボートの練習中、転覆して高校生18人が川に投げ出された事故で、見えてきたのは安全管理の甘さだった。練習は県教育委員会の委託を受けて県ボート協会が行っていた強化合宿で、県内外9つの高校のボート部員が参加していた。
漁師も船出せない強風
高校生が乗っていたのは「シングルスカル」という一人乗りボートで、スピードを上げるために細身に作られており、風でバランスを失い転覆しやすい。日本ボート協会によると、風速4~5メートルが限界で7~8メートルだと危険という。
ところが、事故が起きた26日午前(2012年12月)の現場は気温5.3度で、中利根漁協組合の滑川幸男組合長によると「雲が水平で、想像するに10~13メートルの風が吹いていた。すぐに漁師仲間に救助捜索に当たろうと連絡したが、風が強いため船が出せないと断られた」という。
川に投げ出された18人の高校生は幸い全員が救助されたが、うち6人が低体温症で病院に搬送された。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト