暮れも押し詰まった昨年12月19日(2011年)、北朝鮮の朝鮮中央テレビは「17日に金正日総書記が死去した」と伝えた。持病の心臓病などの悪化がとくに伝えられていたわけではなかったので、世界中がビックリしたが、こうした国際的なビッグニュースはワイドショーは苦手だ。今後の北朝鮮情勢を論じるには予備知識も時間もないし、専門家にきちんと語らせる番組作りにもなっていない。そこで得意とするサイドストーリーやエピソードをかき集めた。
「金正日『遺体保存』処理費用8000万円、維持費は年6000万円」(日本テレビ系「スッキリ!!」)、「北朝鮮の『やらせ集団号泣』整列して身もだえ叫ぶ滑稽」(フジテレビ系「とくダネ!」)などを取り上げ、金正恩の後継が濃厚になると、「金正恩に寄り添う若い女性だれ?妻説と妹説」(「とくダネ!」)、「金正恩『10歳の時から決まっていた』(金正日の専属料理人)」(「「スッキリ!!」)と解説した。
面白いのは、硬派のニュース・報道番組の訳知り分析より、ワイドショーのこうした下世話な情報の方が実は北朝鮮の現状を浮き彫りにしているということだった。(テレビウォッチ編集部)