青森県下北半島にある東北電力・東通原発敷地内の断層について、原子力規制委員会はきのう20日(2012年12月)、専門家4人を入れて開いた評価会合で、「活断層であることを否定できない」という見解を出した。原発は昨年2月 から停止中だが、再稼働は厳しい状況になった。
判定は、敷地内に4本ある断層のうちF-3、F-9と呼ばれる2本について行われた。ともに原子炉建屋から数百メートルにある。東北電力は「計画当時からの調査で活動性はない。耐震性を考慮する活断層ではない」と真っ向から否定している。
東通は1998年に着工、05年からの運転開始で、まだ7年しか経っていない。福島事故後の昨年11月、旧原子力安全保安院が断層の安全性について再調査を指示したが、東北電力は今年3月、「活断層ではない」とした。きのうの判定はこれを否定したことになる。
耐震補強しても難しくなった再稼働
原発の活断層調査では、先週、敦賀原発(福井県)でも「活断層」との判定が出ている。敦賀ではとくに断層が2号機建屋の真下を通っており、「真下は不可」とする安全基準 からいって廃炉になる可能性が高い。
東通は真下ではなく「近傍」で、これが判断をややこしくしている。また、東の海底には巨大な大陸棚外縁断層があり、これが動く可能性もある。廃炉にすべきか、耐震補強をして再稼働にこぎ着けられるかは、なかなかに微妙だ。
司会の加藤浩次「原発の活断層は2例目ですね」
原発に詳しい元日本テレビ解説者の倉澤治雄は、「東通については評価がし難い」という。東通はまだ新しく、ローンもあるし廃炉のための積み立てもできていない。稼働すればプラスに考えられるが、活断層の起こす地震がどれくらいかがわからないと補強の度合いもわからない。
まず立地ありきで下北半島「原発銀座」
加藤が「外側にも断層があるんですね」と外縁断層のことをいう。西村綾子レポーターが地図で示したが、これがすごい。下北半島には北から大間原発(建設中)、リサイクル燃料備蓄センター(建設中)、東通原発(停止中)、さらに六ヶ所村再処理工場がずらりと並んでいる。その東方80~100キロの海底にある外縁断層は、半島と並行して並んでいる。動けばM8 クラスといわれる脅威だ。
加藤「なんでこんなところに原発などを作ったのかな」
倉澤「日本は場所が少ないから、原発はまず立地ありきで進む。科学的な知見はあっても、曲げてしまったりがあったのではないか。今の規制委員会は疑わしきは安全側で考えるようになった」
八代英輝(弁護士)「国が許可している以上、廃炉にせよ何にせよ、何らかの形で国がサポートすべきではないですかね」
キャスターのテリー伊藤「耐震安全性が本当に確保されるのであれば、CO2もあるから、とりあえず再稼働もありかと思う」
倉澤によると、来年7月までに安全基準を作り、それから耐震補強となる。「数年はかかるのではないか」という。
加藤「電力の供給のあり方を根本的に変えないとまずいのではないですか」
倉澤「それは政治の世界の話になる」
テリー「あと省エネだね」
倉澤「ドイツでは、技術も代替エネルギー転換も進んでいる。ライフスタイルも変えないといけない」
その通りだ。LEDだけじゃない。民間が必死になれば、省エネ技術は進む。足りる足りないの議論に、省エネが出てこないところに政治的ないかがわしさがある。