「ウァーッ。ギョウザもまな板もトイレットペーパーも。いまなぜか黒が大流行なんです」と司会のみのもんたも驚く。列島各地で食品から日用品まで黒色の商品が幅を利かせている。取材キャスターの米田やすみが報告した。
黒ビールは売り上げ3割増
米田がまず向かったのが都内のドラッグストアだった。「ズラリと並んでいますねえ」と紹介したのが入口正面にあるコーナーだ。「これが定番の黒の綿棒、そして汗脇パット、毛穴の汚れをとるパック、こちらが黒の入浴剤、さらには黒の懐炉まで売られています」
訪れた女性客に聞くと、「綿棒は使います。白より汚れがはっきりわかりやすいので」。渋谷の生活雑貨専門店のキッチンコーナーには、黒い包丁、黒いまな板もある。店の人は「食材が見えやすいし、汚れもわかりやすいといわれます」と話す。寝具売り場には黒い枕が並んでいて、中に黒い備長炭を入れたパイプが入っているという。
日常品ばかりではない。納豆、カレー、ゴマ、焼きそばなど食品にも黒い商品が出回っている。米田が実際に食べてみた「漆黒のソース入り」というイカスミ焼きそばは「ふわぁっとして、黒色にしてはやさしい味です」。
今年の黒をリードしたのは黒ビールという。酒専門店の店長は「前年比3割増です。飾りものではなく、1つのジャンルとして成り立ってきています」という。日本各地のご当地グルメにも黒色が出回っている。白が当たり前だった食品に侵食している。神奈川県小田原市の名物かまぼこにもイカスミを使用した黒かまぼこ、静岡県焼津市では黒ナルト、浜松市では黒ギョウザ、北海道では「白い恋人」ならぬ「黒い恋人」のチョコレートも出現した。
発端は「富山ブラック」高級感が出て健康にいいイメージ
「朝ズバ!」によれば、黒ブームを牽引したのは富山県ではないかという。ここでは街を走っている路面電車も真っ黒なのだ。地元の特産品が集まる道の駅には、黒のイカの塩辛、黒のどら焼き、黒のカレー、黒のサイダー…。それぞれの商品に「富山ブラック」と記されている。富山ブラックのラーメンは魚醤を使ったタレが黒さの秘密だ。「麺家いろは」の栗原清会長は「富山ブラックとして全国にアピールしたいという動きが他の商品と重なり話題になっていると思います」と語る。どうやら、これが黒いご当地商品の発端となったようだ。
日本総研の斉木乃里子主任研究員は「もともと口に入れるものや肌につけるものが黒いというのは抵抗感があるといわれていたが、今は高級感があるとか、健康にいいというイメージに変わっています」という。コメンテーターの歌人で作家の田中章義は「日本人は文学の世界でも1000年以上にわたって、漆黒色や墨色など黒だけで10何種類も語ってきた民族です」と熱っぽく語った。ちなみに、黒のトイレットペーパ―のギフトセットは2625円だそうだ。