衆院総選挙の注目点のひとつだった「第三極」の戦いぶりはどうだったのか。日本維新の会は172人を立てたが、小選挙区151人中当選は14人。うち12人が大阪だった。比例も入れて54人。まあ検討といえるのだが、大勝するつもりでいた橋下徹代表代行は「全国にしっかりメッセージを届けることができなかった」と笑顔はみせなかった。
応援に沢田研二、通りがかりの宇梶剛士が「がんばれ!」
なかには本来なら第三極なのに、与党にとどまった候補者もいる。民主党の田中美絵子だ。解散前に離党する議員を止めようと涙で訴えた彼女だが、もとは石川2区の小沢ガールだった。小沢とは袂を分ち、さらにお国替えで東京15区の元民主・東祥三の刺客になった。1年生議員にわずか12日間で落下傘のドブ板選挙を強いる党も党だが、「突然のお国替えで」とまったく知名度なしの土地で必死に戦う彼女の姿は、気の毒としかいいようがない。結果は、東を抑えたもののあえなく共倒れに終わった。
無所属の山本太郎が挑んだのは、東京・杉並区で敵なしの自民・石原伸晃で、原発反対一本やりで向かった。「本当のことを言わせてください、国会で」という訴えにたくさんの人が集まった。いわずと知れた福島原発事故で立ち上がった一匹狼。ともかく知名度はある。応援もミュージシャンあり、都知事選の宇都宮健児あり、ジュリーの沢田研二あり、通りがかりに宇梶剛士と、まことに多彩。石原には大きく水をあけられたが7万票をとって、民主の候補をおさえて次点になった。本人も「あと1週間あれば」という。選挙区をうまく選べば通ったかもしれない。
そしてもう1人が、元グラドルだ。日本維新の会から東京21区に出た佐々木理江。水着姿も画面に出たが、人気のグラビアアイドルだった20代はじめから政治に関心があったという。昨年夏(2011年)、維新政治塾の門をたたいた。党が割り当てた東京・立川地区には、知名度はおろか土地勘もない。「立ち止まってもくれない」という状況からのスタートだった。頼みの橋下徹代表代行も来てくれない。やっと石原代表がきたものの、党の方針とか大きな話ばかりで、候補者である佐々木さんの名前もいってくれなかった。
対する相手は民主党の長島昭久。現職の防衛副大臣で北朝鮮のミサイル問題が注目され、民主の議席を守った数少ない候補者だ。佐々木は大差で敗れた。