まあ、気が早いというのか、2013年夏に公開されるスタジオ・ジブリの新作2本の「ポスター」がきのう13日(2012年12月)に発表になった。高畑勳監督(77) の「かぐや姫の物語」と宮崎駿監督(71)の「風立ちぬ」だ。それぞれ14年ぶり、5年ぶりの作品だが、内容はまだわからない。プロデューサーの鈴木敏夫氏は「独立した作品として同じ日に公開する」という。高畑、 宮崎両監督は1988年に、「火垂るの墓」と「となりのトトロ」で同時にロードショーを打った。今回の同時公開は25年ぶりとなる。
「月の帰る姫の気持ちを丁寧に描きたい」
「かぐや姫の物語」のポスターは大きなてのひらの中で輝くかぐや姫の絵柄だ。背後に竹林が見え、「姫が犯した罪と罰」とある。物語は誰もが知っている。が、彼女の感情について記されたものはない。「それを一個一個丁寧にやる」と鈴木はいう。
「風立ちぬ」のポスターには、青い空と白い雲の下、緑の中にパラソルを立てて油絵を描く少女がいる。そこに記された言葉は「堀越二郎と堀辰雄に敬意を表して」「いざ、生きめやも」とある。これは何か。堀越二郎は旧日本海軍の艦上戦闘機「零戦」の設計者だ。堀辰雄は「風立ちぬ」が代表作の作家。この2つを結びつけるものが、実はあった。プラモデル愛好家の雑誌「月間モデルグラフィックス」に、2009年4月から9回、宮崎監督が漫画を連載していた。そのタイトルが「風立ちぬ」だった。
零戦生みの親ジレンマ「美しいものを作ろうとしたら兵器になっちゃった」
「月間モデルグラフィックス」を発行するアートボックスの市村弘代表は、「宮崎さんが、これ映画にすることになったといっていた」という。「紅の豚」もこの雑誌の連載漫画が原作なのだそうだ。宮崎監督は別のところでも、「戦争の道具を造った人間の映画を作るんですけど、スタッフ にも女房にも『なんでそんな映画を』といわれて…。でも、ボクは彼が『美しいものを作りたかった』ということをポソッと漏らしたということを聞いてね、『これだ』と思ったんです」と話している。
零戦の生みの親が主人公なのだが、ではポスターの女性はだれなのか。それが堀辰雄だ。「風立ちぬ」は結核で死を迎える婚約者との日々を綴ったものだ。鈴木は「堀越二郎の生涯に堀辰雄のモチーフをぶち込む」という。連載漫画は「美しいものを作ろうとしたら兵器になっちゃった。そのジレンマです」と市村さんは言う。
司会の加藤浩次「半年も前でしょう、来年夏だから。同時公開というのはどちらも負けねぇぞと」
取材した中山美香レポーターはもうひとつの言葉、「いざ生きめやも」を「難しいが生きねばならぬ」と解釈して「強い意志を表す」という。
キャスターのテリー伊藤「堀越二郎さんという実在の人物を使うのは初めてでしょう」
中山「10歳から40歳くらいまでの30年を描くのも初めてだとのことです」
ちょっと楽しみ。でも、相変わらずジブリは宣伝がうまい。